漂着ゴミに紛れたクジラの“排泄物”で一攫千金「タイでは推定7800万円の塊が」

 国内外で大きな問題となっている海の漂着ゴミ。日本の海岸でもハングルや中国語、ロシア語など隣接する国の言語で書かれたプラスチック容器などを無数に見かける。だが、砂浜に打ち上げられるのは何も漂着ゴミだけではない。なかには高値で取引されるようなお宝アイテムがごく稀に落ちていることも。

 例えば、龍涎香(りゅうぜんこう)もそのひとつ。欧米ではアンバーグリスの名で知られ、香水などに使われる最高級の香料だ。

 実はコレ、あまり知られていないがマッコウクジラの腸内で生成される結石で、排泄物の中に含まれているモノ。海の生き物なので当然海中で用を足すわけだが、龍涎香の比重は海水より軽い。しかも、意外と水にも溶けにくく、海面に浮いた状態で長期間漂っていることも珍しくない。マッコウクジラは絶滅危惧種に指定されており、その排泄物もまた滅多に見かけない代物だが、もし砂浜で発見できればビックリするような大金を手にできる可能性がある。

 大きいほど価値が高いとされ、2019年にタイ南部のビーチで見つかった龍涎香の推定価格は7800万円。2016年にはオーストラリア南部の海岸で7000万円相当の龍涎香が発見されている。いずれも大きな塊で、これほどのサイズのものが漂着するのはレア中のレアだが、ボールほどの大きさでも数百万円規模の値がつく可能性はある。近年、日本で数千万円クラスの巨大龍涎香が打ち上げられた話は聞かないが、小ぶりなものなら沖縄や和歌山の海岸をはじめ、各地で時折発見されているようだ。

 しかし、海岸は公共の場所であり、地域によっては砂や石、サンゴ、化石類を持ち帰ることは厳しく禁止されている。ただし、龍涎香に関する明確な規定は存在せず、「自治体に問い合わせたら『所有権は拾った方にある』と言われた」といった情報もある。

 高値で取引されるものなのでのちのち罪に問われるなどのトラブルに巻き込まれないためにも、もしも見つけた場合は一応確認しておいたほうがよさそうだ。

(トシタカマサ)

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