長らく押入れの奥に押し込んで存在を忘れがちなもののひとつに「受験参考書」がある。受験終了と同時に捨ててしまうという人も多いだろうが、なんとなく捨てそびれてしまった…なんて方も少なくないのではないだろうか。
この受験参考書、それなりの値段で売れるかもしれないのだ。古本のせどりに詳しい古物商の男性に話を聞いた。
「古本の中でも受験参考書はかなり値が読みやすい部類のものです。ものによっては定価よりも高く売れる場合もあるので、捨てる前に相場を調べた方がよいでしょうね。受験参考書の中で王道なのは、やはり赤本です。大学の過去問題集の定番、教学社の大学入試シリーズですね。難関大学を受験する場合、少なくとも過去10年の過去問をやり込む必要があるとよく言われます。大学によってバラつきはありますが、新刊には大体の場合3~4年分しか収録されていません。そこで必要となってくるのが古本となるわけです。そういったわけで赤本は古いほど希少価値があって相場価格が上昇するという逆転現象が生まれます」
とはいえ、古ければ古いほど高く売れるというわけではなさそうだ。
「ここで注意が必要なのが、2006年より以前のものは売れない…という点です。この年に学習指導要領がガラっと変わったため、問題の傾向が一変してしまったためです。単純に受験者数の多い大学のものは需要があるので高く売れます。あと医学部のものは高く売れやすいですね。リスニングCD付きのものも人気があるので高値が付きます。購入する人は、大学名や年度などピンポイントで指定して検索するので、古本屋などに持ち込むよりも、ヤフオクやメリカリで売るのがおすすめかもしれません。全般的に年末の受験前の時期に値が上がりますので、その時期まで寝かせておいて売るのも手ですね」
売れ筋は赤本に限らない。予備校の人気講師が執筆した参考書のシリーズなども一定の需要があるという。
「売る際に気をつけたい点ですが、マーカーなどでガッツリとアンダーラインを引いてしまったものは売れにくいですね。鉛筆での線であれば、きれいに消しておきましょう。また80年代90年代などのかなり古い絶版参考書の中には、実用品としてではなくレア物として高値がつくものもあります。一例ですが『キミにもできる スーパーエリートの受験術』という受験勉強のノウハウについて書かれた本は、絶版になっていて入手困難なことから20万円以上で取引されています」
使ってよし売ってよし、人生で何度も役に立つのが受験参考書だ。
(オフィスキング)