あなたは通称“イクイク病”と呼ばれる奇病があることをご存じだろうか? 女性を対象とした持続性性喚起症候群という疾患で、2001年に米国で発見されたばかりの新しい病気だ。
男性の中には「なんてうらやましい病気なんだ!」と喜ぶ者もいそうだが、実際にはそんな単純な話ではない。日常生活の何気ない動作でも“性的絶頂”に達してしまい、その数は多い人だと1日100回を超すという。これを自分に置き換えれば、うらやましいとは絶対に思えないはずだ。
今回、筆者はそんな持続性性喚起症候群に悩むA子さん(30代)という女性に接触。彼女から話を聞くことができた。
「症状を自覚したのは7〜8年前のことです。ただし、人に説明できるようなものではないですし、恥ずかしさのあまり誰にも打ち明けられない日々が続いていました」
特に地獄だったのは通勤中の満員電車。その振動からくる刺激で、会社に行くまでに強制連続絶頂を強いられていたという。しかもこれだけでは終わらない。
「仕事中も電話の音、座っている姿勢を変えただけでイッてしまうこともあり、替えの肌着が1日何枚も必要な状態でした」
さすがに意を決して病院で診てもらうも発症原因も不明なら治療法も確立されていない。それ以前にこの病気のことを知らない者も多かったそうで、「色情症じゃないの?」と彼女が異常的な性的欲求の持ち主のように言う医師すらいたそうだ。
「病気は今も治っていません。おかげで仕事も長く勤めることができないのですが、今はコロナ禍の影響でリモートワークが続いており、そこはすごく助かっています」
そう話す一方、病気のせいで諦めたモノも多い。
「特に結婚と出産です。病気発症後も男性とお付き合いすることはあったのですが、受け入れてもらうことができなくて……。子供も欲しかったですけど、さすがに病気のことを考えると難しいなって」
病気が病気のため、気軽に周りに相談できるような内容でもない。もしかすると、知らないだけで我々が考えている以上に同じ病気で悩んでいる女性は多いのかもしれない。
(トシタカマサ)
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