内村光良がMCを務める冒険バラエティ番組「世界の果てまでイッテQ!」(日本テレビ系)が、新型コロナの影響をもろにかぶっているようだ。海外ロケが現実的に不可能となった今、同番組はロケ地を日本国内に限定。珍獣ハンターのイモトアヤコはワールドツアーならぬ“ジャパンツアー”で47都道府県制覇を目指している最中だ。
7月26日の放送では前回の北海道に続いて和歌山県を訪問。世界遺産の熊野古道や那智の滝、すさみ町の海底10メートルに設置された「海中ポスト」などを紹介していたが、一部の放送内容には視聴者から苦言が呈されていたという。
「ギネスブックに《世界一深いところにあるポスト》として認定されたことのある海中ポストでは、ダイビングの免許を持つイモトが自らハガキを出すことに。そんじょそこらのタレントでは海には潜っていけませんから、ここはさすがイモトと面目躍如の見せ場です。ところが番組では海中ポストから投函物を回収している様子を暴露してしまい、視聴者からは《海のファンタジーを壊すな》《放送して欲しくなかった》といったクレームが続出しています」(テレビ誌ライター)
ただ海中ポストに関しては、すでに様々なメディアで郵便物回収を担当するダイビングショップの存在が明かされており、決して「イッテQ」が秘密をバラしたわけではない。とはいえ、番組全体を通して見た場合、やはり「イッテQ」ならではの演出に首を傾げざるを得ない点が多かったというのだ。
「この『イッテQ』は従来の旅バラエティとは異なり、取材場所や取材相手の名前といった詳細な情報をほとんど明かさないのが特徴。《この観光地に行ってみたい》と思わせる演出はほとんどしていませんでした。これまでは海外のマイナースポットばかりを取り上げていたのでそれで済んでいましたが、さすがに国内ロケではそういうわけにはいかず、出演する観光地やスタッフの名前をテロップで紹介するなど具体的な説明は増えています。それでも一般的な旅バラエティに比べれば観光スポット紹介としての役割はほとんど果たせていないため、今後はそこが弱点になっていく恐れがあります」(前出・テレビ誌ライター)
観光地のスタッフが取材に協力してくれるのは、テレビで紹介されることにより集客増が期待できるからだ。しかし「イッテQ」流の紹介では笑いのネタとして消化されるだけのケースも多く、手間暇かけて取材に協力する甲斐があるかどうかは微妙なところ。それどころか今回の「海中ポスト」の一件のように、神秘的な観光スポットのロマンをぶち壊しにする恐れすら否定できないのである。
「しかもイモトのジャパンツアーでは最初から『47都道府県制覇』をうたっており、これから40カ所を超える都府県でロケを続けるはず。しかし《イッテQに取材協力しても損なだけ》という評判が広まれば、ゴールデン枠に堪えうるレベルのロケ地が見つからない恐れもあります。これでは全都道府県を制覇するために軌道修正を余儀なくされるかもしれなません。ただそうなると『イッテQ』らしさが失われるかもしれず、同番組としては国内ロケという禁断の果実に手を出したことが失敗だったのかもしれません」(前出・テレビ誌ライター)
国内ロケがメインなら、それが「世界の果てまで〜」である必要すらない。そんな根本的な命題に今、番組スタッフは直面しているのではないだろうか。
(北野大知)