「パーティーの会費は2万円。受付のスタッフはフェイスシールド着用で、来場者に手指のアルコール消毒を徹底させるなどコロナ対策は万全でした。え? 1000人も来てたんですか? 来場者数はわかりませんが、かなり“密”な状況でしたよ」
7月16日に都内のホテルで行われた自民党麻生派(志公会)の政治資金パーティー「志公会と語る夕べ」に参加したAさんはこう振り返った。確かに、Aさん提供による写真を見ると、会場の席には一定の間隔がもうけられているものの、かなり密集した印象を受ける。
「受付だけ済ませて、帰ってしまう人がかなりの数いましたよ。あとは麻生(太郎)さんの挨拶が終わったとたんに会場を後にする人もたくさんいました。こんなこと過去にはありませんでした。やはりそれだけ多くの人が、“密”な印象を受けたのかもしれませんね。政治家のパーティーといえば、ビュッフェ形式で料理が振る舞われるのが通例ですが、今回は食事ナシ。それでいて、会費2万円ですからね。経費がかからない分、実入りもよかったのではないでしょうか。また、ふだんは帰りにお土産を持たされるものですが、これもナシ。代わりに、会場で渡された申し込みハガキに届け先などを記入して投函すると、ビーフカレーとコーンクリームスープの詰め合わせが送られてくるように段取りされていました」(Aさん)
麻生派がパーティーで“ボロ儲け”した2日後、新型コロナウイルス対策を担当する西村康稔経済再生担当大臣は記者会見において屋内のイベント開催の制限について言及。8月1日から入場者数の上限を「5000人」から施設の定員の「50%」にまで緩和する方針に待ったをかける形で、「慎重に考えないといけない」とコメントしたのだ。
「プロ野球やJリーグは5000人を上限として有観客試合を行ってきましたが、この緩和によって、さらに多くの観客を受け入れる予定でしたが、この西村発言によって、今後の見通しがまったく立たない状況になりました」(社会部記者)
この一連の流れに疑問を呈したのが、立憲民主党の蓮舫副代表だ。ツイッター上で、「西村大臣が8月から屋内イベント5000人上限撤廃を見直す考えを表明したのは、このパーティが終わったからなのか」と麻生派の政治資金パーティーとの関連性を指摘。「そもそも、自民党は秋の党大会は中止してるのに派閥のパーティはいい、と」と疑問を投げかけ、「納得できません」と噛みついたのだ。
「毎年恒例の秋の自民党大会はすでに中止を発表しています。東京都で新規感染者が連日のように200人超えを記録し、さらに地方では“東京由来”の新規感染が相次いで確認されています。麻生財務大臣ほどの大物なら、出席の“アリバイ”を残すという目的のために、わざわざ地方から上京してきた支援者も少なからずいたはず。蓮舫副代表が苦言を呈するのはごもっとも。麻生派のパーティーでは派閥の重鎮と呼ばれるベテラン議員があいさつをしていましたが、先陣を切って開催された政治資金パーティーのやり方を偵察に来たとの見方がもっぱら。また、世論の反応を見る観測気球という意味では、麻生派のパーティーを真っ向から批判するマスコミは意外と少なく、これをいいことに、今後こうしたパーティーは秋口に立て続けに開催されるかもしれませんね」(前出・政治部記者)
資金集めは結構だが、くれぐれも“政界クラスター”を起こさないよう、万全の対策で臨んでいただきたい。
(編集部)