コロナ感染「10代無職女性」は舞妓だった!京都祇園の隠ぺい体質に非難轟轟

 京都最大の花街と言えば、まず思い浮かぶのが祇園だろう。そんな祇園で置屋などが加盟する祇園新地甲部組合が、10代の舞妓2名の新型コロナウイルス感染を公表したのは7月7日のことだ。

 同組合は京都新聞などの取材に対し、「6月下旬、ふたりが味覚障害などの症状を訴えたためPCR検査を受けたところ、陽性と判明。しかし、軽症で既に回復し退院。ただし、感染経路については不明のまま」と答えている。だが、その対応に眉をひそめるのが、地元タウン誌のライターだ。

「京都府の京都市新型コロナウイルス感染症対策本部は6月27日、10代女性2名の感染者を把握して『無職で知人関係にある10代の女性』と発表しました。ところが、翌28日、組合は舞妓である事実を公にせず、関係者に対してのみ、《すでに濃厚接触者は特定されております》《感染者が発生したことは残念なことではありますが、余計な噂を吹聴したりすることは決してしないようにお願いいたします》といった文面を出しているんですね。以降も事実を公にすることはなく、続いて《濃厚接触者十数名を特定したが、PCR検査は全員陰性だった》旨を関係者宛に通達したのが、1週間後の7月4日でした。ただ、この時も公にすることはなく、結局、一部メディアがその事実を掴み、組合に取材をかけてようやく公表に踏み切った。つまり、メディアが取材をかけなければ、事実が公表されることはなかった可能性も否定できないということです」

 このニュースを受け、SNS上では、《そらまあ、祇園と行ったら格式が違うから、保健所も舞妓ではなく無職の女性が感染と発表するだろうな。夜のクラブやホストクラブと同じ扱いはできないもの》《京都はこういう面があるから怖いな。こんなことをしていると、ますます京都離れが進むぞ》《伝統と規律を重んじるとかで、舞妓の撮影すら拒否する姿勢を取りながら、お客さんが感染するかもしれない事態を放置するとは!天狗も調子に乗ってたら、鼻が折れるのと違いますか?》など、辛辣な意見が多数を占めることになった。

 祇園甲部を含む京都五花街では7都道府県に緊急事態宣言が発令された4月7日から、お茶屋の休業や芸舞妓の稽古の中止などを含め、営業自粛措置をとっていたが、6月から営業を再開していた。

「組合では〈客同士や芸舞妓と客の間隔を1〜2メートルあける〉〈おちょこやグラスなどの回し飲みは避ける〉〈濃厚接触になりかねないお座敷遊びは禁止で、主に歓談と芸事の披露とする〉などのガイドラインを設けていますが、やはり酒を呑んで楽しむ席ですからね。常識的に考えてこのルールが厳格に守られていたかどうかは疑問。しかも修行中の身である舞妓は、お稽古事も一緒、寝起きする場所も一緒であるため、陽性者が一人出れば、感染が広がる危険性は高いと言わざるを得ません。確かに、コロナで祇園の観光業は甚大な被害を受けましたが、今回、感染を公表しなかったことで、イメージが悪くなったのも事実。大切な娘を舞妓として置屋に預けている親御さんの中には、『もう帰ってきなさい!』という方も少なくないと聞きますからね。今回の“隠蔽”で祇園がさらなる苦境に追い込まれたことは間違いないでしょうね」(前出・ライター)

 伝統と格式を重んじるがゆえ、それが裏目に出てしまった今回の騒動。祇園の街は今も揺れている。

(灯倫太郎)

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