「韓国人は嘘つき」社内文書で企業側が敗訴、「職場ヘイト」はなぜ起きた?

「韓国人は嘘つき」「野生動物」「嘘をついても責任を取らない民族」

 これは東証1部上場の不動産会社の会長が、従業員に対して社内文書として配布した文の一節。この社内文書の内容を受け、同社で働く在日韓国人の女性は、精神的苦痛を受けたとして2015年に会社と同会長を相手取り、3300万円の損害賠償を求めて提訴。そして今年7月2日、大阪地裁堺支部は女性の訴えを認め、110万円の支払いを命じる判決を下した。

 この判決を受けて、ネット上では、《レイシャルハラスメントの典型。社会から差別をなくすためにも賠償額はもっと高くしたほうがいい》と、判決を擁護する意見がある一方で、《会長が自身の思いを主張しただけなのに賠償とは気の毒だ》《慰安婦問題を蒸し返したり、軍艦島の世界遺産登録を除外しろと主張したり、さんざんイチャモンをつけてきたのは韓国でしょ?会長が怒るのはごもっとも》など、不動産会社に対して同情的な意見も多く見られた。

 裁判で「敗訴」となった不動産会社の会長は控訴する構えだが、なぜこの会長は「職場ヘイト」とも言える行動に出たのか。

「戦後生まれの会長は経験上、韓国人・在日韓国人はビジネスパートナー、および一緒に働く従業員としてふさわしくないと感じる機会も多かったのかもしれません。そうした思いから、在日の従業員を炙り出すような意図もあって社内文書を回覧したのではないでしょうか。この住宅メーカーは大阪に本社を構えているので、本来、在日韓国人が多い同地でこうした活動をするのは、ビジネス的にはマイナスのはず。そうしたデメリットを踏まえた上で、会長は文書を配布したわけですからね。相当な覚悟があったはず」(社会部記者)

 2019年に「週刊ポスト」が「韓国なんて要らない『嫌韓』ではなく『断韓』だ」「怒りを抑制できない『韓国人という病理』」という見出しの記事を発表し、世間から猛批判を浴びたのは記憶に新しい。「差別は悪」という点において議論の余地はないが、なぜ日本と韓国の対立構造が依然としてくすぶり続けているのか。社会心理学者はこう語る。

「終戦から75年が経ち、ほとんどの日本人は、イデオロギーに限らず、差別はいけないことだと知っています。それでも韓国人・在日韓国人の人々への不信感が消えないのは何故なのか。それを恐れずに検証すべきです。たとえば韓国人が持つといわれる“事大主義”(強い勢力に付き従うという考え)の問題。近隣諸国から侵略され続けた歴史を持ち、反日教育を行う国に生まれたことで、それが人格にどう影響するのか。あるいは、多くの在日の方々が経験している“苦労した生い立ち”についても、人の人格は生まれ育った環境や幼少期の経験に大きく影響されるため、それが日本人との間にどんな軋轢を生みやすいのか。そこをクリアにしない限り、今後100年先もこの問題は遺恨として残り続けるでしょう」

 人種を一括りに語ることはナンセンス。どこの国にでも良い人・悪い人はいる——。それは間違いないが、この常套句だけでは民族問題の解決は難しいのかもれない。

(道明寺さとし)

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