日本のコロナ禍は第2波に備える次のステップへと入った。政府や御用学者らがひた隠す「不都合な真実」の全貌に4人の専門家がズバリ斬り込む。
6月16日、厚生労働省は東京、大阪、宮城の3都府県の住民7950人を対象に実施(6月1~7日)した新型コロナウイルス抗体検査の結果を公表した。注目の抗体陽性率は東京都が0.1%(1971人中2人)、大阪府が0.17%(2970人中5人)、宮城県が0.03%(3009人中1人)。この異常なまでに低い感染率から見えてくる戦慄の未来図とは……。
─それにしても、厚労省が明らかにした抗体検査結果は衝撃的でした。
A(感染症の専門医) 抗体検査は新型コロナウイルスに感染したことがあるか否かを判定する検査です。検査の精度の問題はありますが、原則として検査結果が「陽性」であれば「感染歴あり」、「陰性」であれば「感染歴なし」ということになります。
─現時点での感染の有無を判定するPCR検査とは意味が異なるわけですね。
A そのとおりです。PCR検査では、過去に新型コロナウイルスに感染して回復した人を検出することができません。それだけに、日本国内での感染率、すなわち抗体陽性率を知ることができる抗体検査の実施と結果が待たれていました。
─その待望の抗体陽性率が予想を裏切る「異常な低さ」だったわけですね。
C(ウイルス学の専門家) なにしろ、これまでのPCR検査で累積患者数が多かった東京で0.1%、大阪でも0.17%、累積患者数の少なかった宮城に至ってはわずか0.03%だったわけですから、これにはドギモを抜かれました。
─つまり、国内での感染率は非常に低かった、と。
C 「非常に低かった」などという、なまやさしい話ではありません。事実、感染率が最も高かった大阪と最も低かった宮城の平均値で見てもわずか0.1%、同様に3都府県の平均値で見てもわずか0.1%です。そして、この0.1%を日本全体における感染率と仮定した場合、実に99.9%もの日本人がいまだ新型コロナウイルスに感染していないという、驚愕の実態が浮かび上がってくるわけです。
B(公衆衛生学の専門家) しかも、統計学の常識から見れば、抗体陽性率を示す0.1%という極小の数字は「誤差の範囲」と捉えるべきで、「統計的に意味のある数字」とは言えません。要するに、やれ医療崩壊だ、やれ外出自粛だ、やれ休業補償だ、やれ給付金だと、あれだけ大騒ぎしていたにもかかわらず、実は「日本ではまだ何も起こっていなかった」ということになるわけです。
─第2波、第3波どころか、日本では第1波さえ来ていなかった、と。
C そういうことになりますね。さらに言えば、これは日本全体における感染率を0.1%と仮定した場合の話です。累積感染者数の多い東京の感染率と全国を平均した場合の感染率がともに0.1%であるとは考えにくく、科学的には日本全体における真の感染率は0.1%よりもさらに低いとみるのが妥当でしょう。そして、今後に起こることを考えれば、現時点での感染率が低ければ低いほど、事態はより深刻になっていくことになります。
D(政府関係者) 実際、安倍晋三総理(65)率いる官邸、厚労省をはじめとする政府、そして専門家会議の関係者らも、一連の抗体陽性率の異常な低さには仰天していました。今回の抗体検査ではアメリカのFDA(食品医薬品局)が許可した、現時点で最も信頼性の高い検査薬が使われました。しかし検査結果を見て焦った厚労省は急遽、FDAが許可を与えていない申請中の検査薬を使った「第2の検査」結果も参考データとしてあわせ公表することにしたのです。
A その参考データを見ると、3都府県の抗体陽性率は東京1.07%、大阪1.25%、宮城1.2%と、いずれの抗体陽性率も正規データに比べてはるかに高い数値になっていますね。
D そのとおりです。厚労省は信頼性の乏しい検査薬を使った検査結果をわざわざ参考データとして併記することで、正規データが指し示す戦慄の未来図から国民の目をそらすべく策を弄したのです。安倍政権がよく使う「隠蔽の手口」です。いずれは総理も交代するし、厚労省内の担当者も代わる。さらに、専門家会議などの有識者も大きく入れ代わるかもしれない。それを計算に入れつつ、「未来のことはオレたちの知ったこっちゃねぇ」と、頬かむりを決め込んでいるわけですよ。
─では一歩譲って、仮に日本全体における感染率を0.1%とした場合、どのような戦慄の未来図が予測されるのでしょうか。
A 0.1%という大甘の感染率を前提としても、予測される未来はおぞましいものになります。その際、まず注目すべきは、新型コロナウイルス感染症による死亡率です。いわゆる致死率はPCR検査を受けて感染が発覚した数を分母とした場合の数値であり、検査数を増やして致死率を低く見せるというインチキも可能です。そこで重要になってくるのが、「人口に占める死亡者数の割合」を示す死亡率。死亡者数の算出にインチキがなければ、これは最も信頼できる指標になります。
─日本の場合、その死亡率はどれほどになるのでしょうか。
A 日本の総人口は約1億2000万人です。そのうちの0.1%が新型コロナウイルスに感染していたとすれば、現時点での感染者数は12万人に達する計算になります。一方、同じく現時点での死亡者数は約1000人ですから、死亡者数を感染者数で割って得られる死亡率は約0.83 %ということになります。
─前回の対談(「週刊アサヒ芸能」4月30日号掲載)では、今年3月、世界的に著名な医学雑誌「ランセット」で指摘された0.66%という死亡率を前提にしていました。
C ランセットで報告された死亡率はいいセンをいっていたと思いますが、今回の検査で判明した日本人の死亡率はさらに高かった。当然ながら当初、日本人も含め地球上の誰ひとりとして新型コロナウイルスに対する抗体を持っていなかった、という点は変わりません。だとすれば、日本における新型コロナウイルス感染症による総死亡者数は、最終的には1億2000万人の0.83%にあたる100万人前後にまで達してしまう計算になるのです。
A しかも、先ほどC先生が指摘されたように、これは感染率を0.1%と仮定した場合の計算です。仮に感染率が0.1%よりも低ければ、それだけ総死亡者数も膨れ上がっていきます。例えば、感染率が半分の0.05%であれば、逆に総死者数は2倍の200万人前後へと激増します。さらに、現時点で1000人近くとされる死亡者も、新型コロナで死亡していながら、非コロナで死亡したとされる人が除外されている可能性もあるのです。
─では、大甘ながら日本全体での感染率を0.1%とした場合、新型コロナウイルス禍が終息するまでには、どれくらいの年月がかかるのでしょうか。
C 日本における新型コロナ禍はおおむね今年1月から始まり、0.1%の日本人が感染するまでに6カ月を要しました。この経過を前提にすれば、全ての日本人がウイルスに感染するまでの期間、すなわち0.1%が100%に達するまでの期間は、6カ月の1000倍にあたる6000カ月という計算になります。年に換算すれば、実に500年。気が遠くなるような計算結果です。
B しかし、私が専門としている公衆衛生学の基礎理論では、総人口の5~7割が感染すれば、その感染症は終息すると考えられています。いわゆる「集団免疫の形成による終息」という考え方で、人口の全てが感染しなければ終わらないわけではありません。ただし、日本の場合、集団免疫形成の最低条件とされる5割ラインでみても、新型コロナ禍が終息するまでには6000カ月の半分にあたる3000カ月、すなわち500年の半分にあたる250年もかかってしまうという計算になります。
C しかも、ある時期までに日本国内の感染者をゼロにできたとしても、日本が未来永劫にわたって完全な鎖国を続けないかぎり、国外から新たな感染者が流入することで感染は拡大していきます。結局は全ての日本人が感染するまで事実上、事態は終息しないということなのです。
─なんと! 現在のような状況がこれから250年も続くとすれば、それこそ日本の経済や社会は終わりになってしまいます。国がしきりにアナウンスしているように、「ワクチンが開発されれば」に期待するしかないのでしょうか。
A 新型コロナウイルスに有効なワクチンの開発には年単位の歳月が必要とされています。しかも、必要とされる歳月を経てワクチンが開発されたとしても、ワクチンが全ての日本人に行き渡るまでにはさらに長い歳月が必要になってくるのです。世界規模で見た場合はさらに深刻で、この間のマスク騒動と同じく、ワクチンを入れるアンプルやワクチンを打つための注射器なども不足して、世界中が大パニックに見舞われることになるでしょう。
C 加えて、ワクチン接種によって形成される抗体免疫がどれくらい持続するのか、という大問題もあります。この点は感染によって形成される抗体免疫についても同じですが、6月18日付の医学雑誌「ネイチャーメディスン」に掲載された報告によれば、新型コロナウイルスに対して獲得された抗体免疫はわずか2~3カ月しか持続しないとされているのです。
─たったの2~3カ月で元の木阿弥ですか!?
B この最新の知見が正しければ、先ほどの「集団免疫の形成による終息」というシナリオすら崩壊してしまいます。唯一の解決策はワクチン接種を2~3カ月ごとに実施すること、それも全ての日本人に対して永久に実施し続けることです。しかし、必要となるワクチンの量だけを考えてみても、この解決策を実行に移すことは不可能であることがわかるでしょう。さらに言えば、新型コロナウイルスに限らず、ウイルスは次々と遺伝子変異を遂げていく性質を持っており、変異前のウイルスに有効なワクチンが、変異後のウイルスにも有効であるという保証はまったくないのです。
─治療薬の開発についてはどうでしょうか。
A これもまた期待薄でしょうね。新型コロナウイルスは一般的な風邪を引き起こすコロナウイルスの亜型ですが、ウイルスとの長い闘いの歴史を経てもなお、人類はその一般的な風邪の治療薬すらいまだ開発しえていないのが現実です。市販されているいわゆる風邪薬は治療薬ではなく、風邪の諸症状に対する一時しのぎの緩和薬にすぎません。
D にもかかわらず、国は「ワクチンや治療薬ができれば」と国民を欺き続けています。中でも、来年の夏に開催が延期された東京オリンピック・パラリンピックについては、安倍総理みずからも「人類が新型コロナウイルスに勝利した記念碑的な大会に」などと、心にもないウソを言い続けています。実際、官邸内はむろんのこと、政府内や専門家会議のメンバーにも、来夏の開催が可能だと考えている人間など1人もいません。東京五輪なんてできるわけがないのです。
─その点も含めて、国は国民に真実をありのままに伝えるべきだ、と。
D そのとおりです。安倍総理が考えているほど国民は弱くはありませんし、愚かでもありません。