納豆定食「生涯無料」でトラブルに発展!クラウドファンディングの落とし穴

「ユーチューバーとして活動する宮迫博之さんが2000万円もの大枚をはたいて『串カツ田中』のネーミングライツを購入したことが話題になりましたが、コロナ禍の苦境にあえぐ飲食店を救おうと、クラウドファンディングに注目が集まっています。宮城県の自治体などは、支援金を申し込むことでお得な利用券が受け取れるクラウドファンディングを実施して好評を博しています」(ネットライター)

 近年、話題のクラウドファンディング。これは共感する支援者からインターネットで資金を集めてプロジェクトを実現するというシステムである。コロナ禍の売上減で、家賃や人件費も払えない。とにかく手持ちの現金がない。そんな飲食店への支援活動が注目を集めるなか、ブームに水を差す出来事があったという。

「最近問題となっているのが、クラウドファンディングで1000万円以上の支援金を集めて開店した飲食店をめぐるトラブルです。このお店は、資金を集める際、1口1万円の資金の見返りとして『生涯1日一回、無料で納豆定食が食べられる』という触れ込みのパスポートを発行。該当する定食が600円(税別)であることから、『20回食べればかなりの得』と話題になり、初回の100名分は即日完売。さらに1000名分のパスポートが発行されました。この『生涯無料パスポート』という斬新なサービスはテレビや雑誌でも取り上げられ、店の知名度は飛躍的にアップしたと聞きます」(前出・ネットライター)

 しかし、今年に入りSNSのクチコミ投稿欄に、《パスポートを不当に取り上げられた》といった“告発文”が書き込まれる事態に。《アンケートの回答が不誠実》《無料の納豆定食のみ注文する》といった理由をあげて、突然、店員にパスポートを取り上げられたのだという。SNSには同様の“被害報告”がアップされていた。

「店側の言い分としては、規約にある『当店と会員の信頼関係が損なわれた』ということですが、無料の納豆定食のみ注文するという点については、資金集めの際の広告文に『たった17回で元が取れる計算になります』とあり、実際に元を取ろうとした際に文句をつけるというのは筋が通っていません。アンケートの回答については、確かに店側から『アンケートを回答するまではパスポートは利用不可』『アンケートの内容に不備があったら、パスポートの利用不可』といったメールが送られていたようですが、このメール自体、開店より後のものであり、いわゆる後出し。“難癖”と言われても仕方ない状況です」(前出・ネットライター)

 この食堂を運営する企業は6月21日付の文書を公式サイト上で公開。「無料パスポートの権利失効に関する一部報道」に関して「一方的に権利を失効する対応をとってしまったことを深くお詫び申し上げます」と謝罪の意を表明した。該当する「支援者」には1万円を返金する意向を示した。とはいえ、この一件で、クラウドファンディングのリスクに気づかされた人も多いのではないのだろうか。

 消費者トラブルに詳しいファイナンシャルプランナーに話を聞いた。

「実は水面下でクラウドファンディングのリターン絡みのトラブルが急増してるんです。しかし役所に相談した場合でも門前払いにされるケースがほとんど。クラウドファンディングは投資という名目のため、十分なリターンが得られなくても、あくまで『自己責任』という形。今後もまだまだトラブルは増えていくと思われます」

 純粋に飲食店を応援したいという気持ちが、トラブルという形で裏切られるのはなんとも残念な話である。

(オフィスキング)

※写真はイメージです

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