「40キロやせた!」現役医療記者が明かす“コロナ太り”撃退の5大鉄則

 とある健康関連企業の調査によれば、新型コロナウイルスの影響で外出が減った結果、コロナ前と比べて体重、体脂肪率が増加した人は、それぞれ約60%に達するという。目下、この「コロナ太り」からいかにして脱却するかが、悩みの種となっているが‥‥。

 外出自粛要請にテレワーク。必然的に運動不足に陥り、ストレスで食べる量も酒量も増え、筋力は落ち、腹はどんどん出てくるばかり……。

 そこで「週刊アサヒ芸能」は、最新エビデンスをもとに、5カ月で40キロのダイエットに成功した現役医療記者にアドバイスを請うことに。

 朝日新聞の医療記者である朽木誠一郎氏(34)が体重80キロから115キロ(体脂肪率34%)に激太りしたのは、大学の医学部を卒業後、就職して1年が経過した頃だった。

「最初はメディア運営企業に入社したんですが、とにかく激務で晩御飯にありつけるのは日付が替わってから。しかも1杯500円のラーメンをおかずに白米を食べるという生活をしていたため、1年で体重が35キロも増加しました。気がつくと、まったく別人の風貌になっていたんです」(以下、コメントはすべて朽木氏)

 少し歩くだけで疲れるようになり、夜中には喉が渇いて目が覚める毎日。

「イビキもひどくなり、膝立ちすると江戸時代の拷問にある石積みをされているような激痛が走って(笑)。当時は1日5000キロカロリーとか消費しきれないくらい食べていました。ただ太っているだけで筋肉が少ないため、基礎代謝も低い。通常、1年程度でそこまで高度な肥満になることは少ないので、僕には太る才能があったのかもしれません」

 その後、自身の経験を踏まえ、医療記者に転じてダイエット関連取材を続ける中、「肥満者には特有のクセがある」という概念を知り、衝撃を受けたという。

「僕もそうでしたが、肥満者にいくら『このままでは病気になるよ』と言っても、なかなか生活を改善することができない。これは『未来の利益』よりも『目先の利益』を優先する肥満者特有のクセ、つまり『時間選好率』が問題だと。そう考えると自分のこれまでの行動が納得できたし、痩せられなかった理由が科学的に証明された思いで。ならば一歩引いて、これが肥満者に共通するクセなんだよ、と知らせることで、肥満のドロ沼からはい出す第一歩になれば、と思ったんです」

 朽木氏はそんなせっぱ詰まった思いで、今年6月に著書「医療記者のダイエット 最新科学を武器に40キロやせた」(KADOKAWA)を上梓した。

 そこで「コロナ太り」の根本である「肥満者特有のクセ」をただすために朽木氏が導き出した、ダイエットに成功する「5つの新・鉄則」を見ていこう。

【1】ダイエットがうまくいかなかった理由を列挙する

「例えば酒好きな人が、ダイエットしなくてはと、いきなり断酒したとする。すると当然、モチベーションが下がります。だから、まずは自分が痩せない原因を原理原則に基づいて洗い出していき、それを認知する。そうすることで、自分にできるダイエット方法が必ず見つかるはずです」

 ちまたにはさまざまなダイエット法が流布するが、

【2】カロリー制限のみ、糖質制限のみ、にこだわらない

 カロリー制限で一定の効果が出ても、食べたいものを食べられない苦しさから、挫折するケースは多い。

「だったら、いったんカロリー制限をやめて、糖質制限に切り替えてみればいい。それで体重が落ちたら再度、カロリー制限にチャレンジする。人間に必要な摂取カロリーは体重に左右されるので、少しでも減らしておけば、もう一度カロリー制限をしようと思った時にやりやすくなるわけです」

【3】スマホなどで簡単セルフマネージメントする

「スマホには食事内容から摂取エネルギーを算出し、目標体重までの達成度を教えてくれる『カロリーママ』や『あすけん』などのダイエット管理アプリもある。これに、トレーニング内容から消費エネルギーを算出し、目標体重までの達成度を教えてくれるアクティビティ・トラッカー(ウォッチ型の身体活動量計)を加えれば、自分がどうやってどうなったかが明確になる。自分にとって最高のメソッドが出来上がります

【4】自分の生活範囲にある選択肢を見直す

「外食や総菜などに比べ、コンビニなどで売っている食材にはカロリーや成分表が明記されており、実はカロリー制限に適しています。組み合わせを考えればベストではないまでも、ベターなものはある。同じ金額なら『カップ麺』ではなく、たんぱく質豊富な『鯖缶』にしてみるなど、食材を工夫すればいい。まずは自分の生活範囲にどんな選択肢があるのかを再確認し、その中からベターなものを選べば、さほどお金をかけなくてもすむのでは」

【5】インスタやLINEなどで他者を巻き込む

 ダイエットに限らず、生活習慣改善のために重要なのが人間関係だが、

「ダイエットというと、かつては医師や管理栄養士に相談、あるいはパーソナルジムに行くというのが道筋でした。でも最近は、インスタに投稿したりLINEでグループを作ることで、お金をかけないで痩せるモチベーションを上げる方法も少なくありません。太らせる力は強いので、自分ひとりでは苦しいダイエットをやり切るのはなかなか難しい」

 だから他者にダイエット宣言をし、経過を報告して励まし合うのが効果的だったという。

「SNSを使ったバーチャルの世界なら、現実の世界よりもより人を巻き込みやすい。SNSは大いに利用すべきだと思いますね」

 ダイエット開始から実に150日を経て、115キロから75キロへの減量に成功した朽木氏だが、 

「とどのつまり、ダイエットは借金返済と同じ。100万円の借金は20カ月かけ、毎月5万円ずつコツコツ返すのが一番です。早く楽に返そうとして別のところから借金したり、ギャンブルで一攫千金を試みても、気がついたら増えていることが多い。食事と運動の改善以外を勧めるダイエット情報は怪しいと思ったほうがいいでしょう」

 必要なのはまず、この5カ条のように、環境を変えることなのである。

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