“濃厚接触芸”で仕事激減!? 結成35周年で問われるダチョウ倶楽部の生命力

 新型コロナウィルスの感染拡大によって、エンタメ業界もイベントや放送の中止・延期が続いている。本来であれば盛大に祝福したい事柄も、今は声に出すことさえままならない。そんな状況に直面したのがダチョウ倶楽部だ。

 85年に肥後克広、寺門ジモン、上島竜兵、南部寅太(当時/現・電撃ネットワークの南部虎弾)で結成したダチョウは、今年がデビュー35周年。しかし、予定されていたメモリアル関連イベントは、いったんすべて白紙に戻った。

 さらに追い打ちをかけたのが、“師匠”志村けんの死。3月29日、新型コロナウイルス感染による肺炎で亡くなった志村とは、フジテレビ系「志村けんのだいじょうぶだぁ2」、舞台「志村魂」の第1回公演から共演。精神的支柱を欠いたショックは大きい。また、ダチョウのお家芸である「ケンカしてチュー」、あつあつおでん芸、熱湯風呂のすべてがコロナ感染に該当するためNG。“濃厚接触芸人”のメモリアルイヤーは、泣きっ面に蜂だ。

 ダチョウのリアクション芸は、91年に日本テレビ系「ビートたけしのお笑いウルトラクイズ」で上島が優勝したことで始まった。テリー伊藤が企画・監修を務めた超過激バラエティで3人は、文字どおり何度も命を賭けている。

「『リュックサック爆弾』ではやけどを負っています。背負ったリュックサックの中にダイナマイトを入れ、ボーンと爆発するものですが、ビートたけしが『向こうの防波堤に行って、空中で爆破して、海に落ちるというのをやろう』と言いだしたから、大変。スタッフシミュレーションをしていないからです。それでもイチかバチかでチャレンジすると、リュックがずれて頭に乗ってしまって、爆発。その直後に海に落下したため九死に一生を得ましたが、片手のひらで収まらないほど髪の毛が抜けたそうです」(エンタメ誌ライター)

「ワニの上を決死のロープ渡り」では、腹を空かせたワニが大量に放り込まれた池に張られた細い板の上を、下半身からエサの鶏肉を装着して渡った。幸いにも、落下は免れている。「人間スカットミサイル」では、巨大な大砲の中に入って飛ばされた。こちらは2回も失敗している。

 ほかにもヘビが100匹放たれたプールへダイブしたり、ライオンと添い寝したり。「殿」ことたけしが下す指令は、どれも現在のコンプライアンスではとても考えられないものだった。

「今でも語り継がれているのは“バス吊り下げアップダウンクイズ”。海に浮かぶ大型バスに乗車して、クイズに間違うと沈んでいく。事前にシミュレーションが行われましたが、本番当日は波がしけて、地元の漁師が船を出すことを禁止したほど。それでも強行して、車内で井手らっきょさんが流され、泳げない上島さんは必死になり、地獄絵図だったとか」(前出・エンタメ誌ライター)

 瀕死直前を何度も経験しているダチョウ倶楽部。当時の苦労に比べれば、現在のコロナショックは余裕で乗り越えられるか。

(北村ともこ)

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