八百屋、駅弁、回転寿司も!? 多業種に広がる「日本式ドライブスルー」

「このコロナ禍で全国各地にドライブスルー方式によるPCR検査場が設置され、以前に増して、日本の社会に“ドライブスルー文化”が浸透してきていると言えます。この3カ月で、1リットルあたりのガソリン価格が30円近く値下がりしていることも一因で、緊急事態宣言が解除されたあとも、さまざまな場面でドライブスルー方式が取り入れられると見ています」(経済誌ライター)

 各所でドライブスルーが導入されたのは、3密を避け、「感染リスク」を抑える効果が着目されたためだ。それまでドライブスルーを行っていなかった企業や店舗にまで広がっている。その取り組みの一端をご紹介しよう。

 東京大田区の青果卸売業者「フードサプライ」では、食品ロスを少しでも減らすために一般客向けの小売り販売企画を開始した。それが「ドライブスルー八百屋」だ。

「物流倉庫で開催されることが多いのですが、一般客は車に乗ったまま商品を買うことができます。窓を開けて販売スタッフに料金を渡すと、トランクに積み込んでくれます。全国約20ヶ所で開催されており、車がズラリと並ぶほどの人気。サービスの内容や開催場所、開催日は『ドライブスルー八百屋』のHPで確認でき、予約もそこで行います。同社ではこの青果販売の成功を踏まえて、『ドライブスルー魚屋』『ドライブスルー肉屋』も展開。もともとはフードロス対策で多くの賛同を得たサービスですが、一般的なスーパーよりも安価でいい品が買えるとあって、リピーターも多いそうです」(前出・経済誌ライター)

 また、列車の旅でしか食べる機会がなかった名物駅弁も、マイカーで購入できる仕組みが整いつつある。人気駅弁を手掛ける兵庫県神戸市の「淡路屋」は、清酒の蔵元「神戸酒心館」敷地内で「ひっぱりだこ飯」といった人気駅弁や新商品「酒乃蔵すきやき弁当」のドライブスルー販売を始めたところ、連日長蛇の列ができるほどの盛況ぶりだという。また、鹿児島県出水市でも名物「えびめし」のドライブスルー販売が開始されている。

 全国でのこうした取り組みについて飲食業界に詳しい業界関係者はこう語る。

「回転寿司チェーンの『無添くら寿司』は、一部の店舗でドライブスルーの販売方式を導入しています。お客は専用のスマホアプリで注文して、指定のスペースに車を駐車。呼び出しボタンを押すとスタッフが注文の品を届けてくれるサービス。このように、わざわざドライブスルーの設備を作らなくても導入できるのが魅力かもしれません。今までドライブスルーに馴染みがなかったユーザー層もその楽しさを実感しはじめています。自粛解除後も受け入れられそうな気配があります」

 コロナ後の飲食業界再生に、ドライブスルー販売形式が一役買いそうだ。

(オフィスキング)

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