昨年11月に発売後、フリーアナウンサーの田中みな実が愛用しているとインスタライブで紹介したことをきっかけに大ヒットした資生堂の「つや玉ミスト美容液」。「田中みな実のようなつや肌になれる!」と口コミが広がり、ドラッグストアを何軒も探し回る客がいるほど、全国で品薄状態が続いた。「つや玉ミスト美容液」の田中みな実特需もあってか、19年12月期、資生堂は売上高、営業利益、純利益ともにそろって過去最高を更新した。
年が明けてなお、ブームが続くと見られていた「つや玉ミスト美容液」だが、コロナウイルス感染拡大防止のためにマスクをつけてしまっては、せっかくのつや肌も見せることができない。今月12日に資生堂が発表した今年1月〜3月期の決算短信によると、営業利益が前年同期比83.3%減。純利益95.8%減と、大打撃を受けていることがわかる。国内化粧品市場の急速な冷え込みは、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、消費者の外出自粛、小売店の営業時間短縮や臨時休業に加え、訪日外国人旅行者によるインバウンド需要の落ち込みも影響していると発表した。
「化粧品市場の業績悪化は外出自粛やデパートの休業も大きく影響していますが、売り場での試供販売が感染拡大防止の面から全くできなくなってしまったことも要因のひとつと言えます。また、化粧の上からマスクを着用するとマスクに化粧品が付着して色移りしてしまうので、マスク着用の習慣が続く限りは厳しいでしょうね」(メーカー関係者)
コロナ禍によって先行きが不安視される化粧品市場だが、一方で、マスクの着用習慣による肌のトラブルや化粧に関する悩みが増えているという。ネット上ではそんな悩みを抱える女性たちの期待を込めた書き込みが見られる。
《マスクで肌が乾燥して肌荒れが続いている。マスク荒れを予防するスキンケア用品をつくってほしい!》
《マスクつけた日焼け跡が気になるから今年も日焼け止めは買いますよ、資生堂さんがんばって》
《職場でも一日中マスクだし、どうせならマスクの下でお肌のエイジングケアをしたい。ほうれい線がなくなるパックとかずっとつけてられないかな?》
化粧品業界はマスク着用の習慣にフォーカスを当て、「つや玉ミスト美容液」に次ぐヒット商品を生み出し、この難局を乗り切ることができるのだろうか。
(浜野ふみ)