全世界に烈火のごとくコロナ禍が燃え広がる中、かろうじて感染爆発に踏みとどまっていたはずの日本。しかしここにきて、感染者数は1日ごとに急増、しかも当初は重症化しないとされた若者でも重体・重篤に陥るケースが続発している。すでに非常事態宣言へカウントダウン状態の列島を最凶の劇死ウイルスが拡散しているというのだ。
北海道や愛知県のクラスターによる新型ウイルス感染拡大が発覚したのが、2月下旬のこと。そしていよいよ第2波が東京や大阪などに加え、患者数の少なかった福岡にも及んだが、その終息時期はいまだまったく予想すらできない状況だ。都庁詰め記者が語る。
「3月30日夜、緊急会見を開いた小池百合子都知事は『換気の悪い密閉空間』『多くの人が密集する場所』『近距離での密接した会話』の『3つの密』が重なることで感染リスクが高まると警告したうえで、夜間の飲食店への外出自粛を重ねて要請しました。これは、お彼岸の3連休の花見に加え、ガールズバーやクラブなどネオン街で、無症状の若者たちが媒介となり、コロナ感染を拡大させている事例が多発していることが判明したためでした。もはや、コロナウイルスは老若男女問わず蔓延しているのが実態なのです」
都の発表によれば、3月25日〜4月1日の感染者は416人。年代別に見ると30代が89人、20代が62人、10代が8人、10歳未満が4人。実に30代以下が4割にあたる163人を占めているのだ。
「ワイドショーなどでは事態がここまで深刻化する以前は『コロナで重症になるのは高齢者』と喧伝してきたが、これは完全なデマだったということです。しかも、こうした若者への感染は東京に限った話ではなく、全国規模で広がっているのです」(記者)
その最たる例が、京都産業大で勃発したクラスター感染だ。全国紙社会部キャップが語る。
「3月初旬から中旬にかけ4人の学生が英国、スペインなど欧州5カ国を卒業旅行し、帰国後に3人がコロナ感染していたことが判明した。しかも、21日に行われたゼミの祝賀会に参加した他のゼミ生にも感染を広げただけでなく、二次感染した学生が翌日のサークル懇親会、地元交流会で三次感染、さらには職場へ四次感染。50人以上、11都道府県と、みるみる感染の輪を広げているのです」
くしくも広島、大阪の大学生も、卒業旅行の帰国後にコロナを発症。こうしたケースが続発しているのだが、まだまだ氷山の一角にすぎない。「人とモノ」の移動がグローバルになった世界では国を問わず、同様の現象が報告されているのだ。テレビ局外信部記者が説明する。
「実は、若者がクラスター感染を引き起こしているのは日本だけではない。米・テキサスでは学生70人が春休みを利用し、航空機をチャーターしてメキシコへ渡航。帰国後に半数以上の44人の感染が確認されています。折しもトランプ政権の下、10人以上の密集回避や不要不急の旅行などの自粛が促されていただけに、学生の責任を問う社会問題となっています」
今やアメリカが中国を抜いて世界最大の感染国へ。もはやその猛威は、まったく別の「殺人ウイルス」へと凶暴化しているかのようだ。外信部記者が続ける。
「3月初旬、中国の研究チームによりコロナウイルスが2種類あるとする注目すべき報告が出されているのです。その報告書によれば、一つがコロナウイルスの感染源とされるコウモリの遺伝子に近い『S型』、もう一つがより新しく進行性のある『L型』だというのです。そして、このL型がイタリアやスペインなど欧州で多く検出されているのです」
実は、S型とL型の致死率の差は研究結果がまだ出ているわけではない。それでもL型の感染力がより強いことから、患者も死者の数も激増する可能性が高いというのだ。このL型コロナに関し、感染症専門医が詳述する。
「コロナウイルスは変異しやすく、感染者が爆発的に増え、ウイルスが増殖を繰り返すほど変異が起きやすくなるのです。欧州ではこのL型が猛威を振るい、死屍累々の犠牲者を出している。一方、中国により近い韓国や日本では、不思議と被害が抑えられている。当初、武漢発のウイルスもL型でしたが、欧州などでの感染爆発を経ながら、より殺傷力を増していった可能性が高いのです」
つまり、同じ新型ウイルスでも、これまでより凶暴なコロナウイルスと対峙しなければいけない時期にさしかかっているというのだ。