ビジネスマンはあらゆる局面で「判断」を迫られるもの。選択肢によって大きな仕事が舞い込んできたり、逆に仕事がうまくいかなかったりと、結果が大きく変わることがあります。
今回、ご紹介する「判断力検定」は、顧客からのクレームや部下からの相談など、ありがちなビジネスシーンをシミュレーションしながら、判断力をはかることができます。
それでは例題を見てみましょう。
〈問〉取引先から頼まれていた見積書の作成をうっかり忘れてしまい、〆切当日にお叱りのメールを受け取ったとします。そのときの対応として最適なものは、
【1】取引先の怒りを鎮めるために何らかの言い訳を考えて謝る
【2】忘れていたことを詫びて、急ぎ作成後、再発防止のためにパソコンのリマインド機能を活用する
【3】焦ってもいい結果は生まれないので、とりあえず喫茶店に行ってリラックスし、それから対応を考える
【4】取引先からのメールや鳴り止まない電話にも一切応じず、とにかく1秒でも早く見積書を作って送る
実際の問題は、4者択一方式や記述式で出題されます。答えは【2】。「〆切を守れなかった」というミスへの対処だけでなく、「〆切日を把握できていなかった」という状況を改善して再発防止に努めている点からも【2】が最適解となるわけです。
試験区分は新入社員および若手社員クラスの初級、主任・係長クラスの3級、課長クラスの2級、部長・経営幹部クラスの1級となっております。
この検定のおもしろいところは採点方式。一般的な試験では正解か否かしかありませんが、この検定は少し異なります。4択問題の最適解とは言えない選択肢にも部分的に正しい記述が含まれており、その選択肢が「問題発見力」「意思決定力」などの各評価項目を満たすかぎりにおいて部分的スコアとして評価されるようです。
私は3級に合格していますが、事前に公式テキストを読んで、インバスケットと呼ばれるシミュレーションゲームに慣れておく必要があります。
「2時間後に開催される記念式典の司会進行役が事故に巻き込まれ、あなたは急遽代役を頼まれました。前任者宛てに届いていたメールの中で返信を優先すべきものを5つ選択しなさい」
何の準備もせずに、こういった問題を1時間の制限時間で解くのはなかなか難しいかもしれません。
この検定を通じて「判断力」を磨けば、どんな危機的状況でも冷静にベストな選択ができるはず。さまざまなシチュエーションで役立つでしょう。
この検定であらためて気づかされたのは、物事の優先順位は「重要度」と「緊急度」の2軸で考えると判断しやすいということ。私は週1以上のペースで資格試験を受け続けていますが、自分を常に追い込むことで勉強の生産性を高めているところがあります。逆に言えば、あえて試験勉強の重要度と緊急度を高めて集中力を引き出す「判断」をしていたのかもしれませんね。
鈴木秀明(すずきひであき)/81年生まれ。東京大学理学部、東京大学公共政策大学院を経て資格アドバイザーに。取得資格数は600