現役名医5人が「診察のウラ」を懺悔公開(2)新たな病名が作り出された

─しかし、日本高血圧学会は「収縮期血圧(上の血圧)120以下、拡張期血圧(下の血圧)80以下が好ましい」として、さらに降圧目標を下げました。

A それは医薬利権を守るためだよ。薬屋(製薬業界)からの寄付金に頼らざるをえなくなって以降、WHO(世界保健機関)は薬屋を儲けさせるために血圧の基準値を切り下げてきた。上の血圧140以下、下の血圧90以下とされたのが99年のことで、日本高血圧学会もWHOによる基準値切り下げにそっくり乗っかった。しかも最近になってさらに「できれば120以下/80以下を目標に」とまで言い始めたんだよ。

─基準値に医学的根拠はないということですか。

D WHOや日本高血圧学会が掲げる基準値を本気で信じている医師などほとんどいません。だいたい、年齢に関係なく血圧の基準値を決めていること自体がナンセンスなのです。先ほどの話にもあったように、血圧は加齢に伴って(血管が細くなるため)自然に上昇していきます。実際、高齢者を対象に海外で行われた調査では、「上の血圧180以上、下の血圧100以上の高齢者が最も長生きする」との結果が出ています。

C 同じ利権構造はコレステロール値や中性脂肪値などでも見られますよね。

─コレステロール値や中性脂肪値も薬で下げる必要はないということですか。

C 基本的に必要ありません。それどころか、「コレステロール値や中性脂肪値が低いと逆に早死にする」という事実は、国内外で実施された研究、調査の結果からも明らかになっているのです。ところが日本動脈硬化学会は転んでもタダでは起きなかった。

E そのとおり。この衝撃の事実が明らかになるや、日本動脈硬化学会はコレステロールを善玉(HDL)と悪玉(LDL)に分け、悪玉コレステロールの基準値を新たにひねり出した。さらに、コレステロール値と中性脂肪値を人質にして「脂質異常症」という新たな病名を作り出し、「コレステロール値や中性脂肪値が高い脂質異常は心筋梗塞や脳卒中などを引き起こす」と喧伝し始めたんだよ。

─脅しですね。

D この点はE先生にぜひお聞きしたいのですが、先ほどの話に出た脳出血にしても、主として血圧が高いから起こるのではなく、コレステロール値が低いから起こるわけですよね。

E それが正しい医学的理由でしょうね。実は善玉も悪玉も含めて、コレステロールは細胞膜の形成に不可欠な成分なのです。この点は血管も同じで、コレステロールが足りないと血管がもろく破れやすくなり、その結果、脳出血やクモ膜下出血が起こると考えられています。逆にコレステロールが満ち足りていて、血管が丈夫な状態に保たれていれば、加齢に伴う血圧上昇で脳血管が破れることはないとされています。

【出席者プロフィール】

A=国立大学医学部長経験者(消化器外科医)

B=公立総合病院診療科長(内科医)

C=総合内科クリニック院長(老年内科医)

D=私立医科大学附属病院副診療科長(内分泌内科医)

E=民間総合病院診療科長(循環器内科医)

司会=医療ジャーナリスト

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