室町時代に来航したポルトガル人によって、日本に鉄砲とともに伝来したパン。今日に至るまで、あんパン、焼きそばパン、カレーパンなど、日本独自の進化を遂げてきました。
かくいう私も黒コッペパンには目がありません。黒糖風味のコッペパンの中にクリームが入っているシンプルな菓子パンですが、本当においしいんですよね。
今回、ご紹介する「パンシェルジュ検定」はまさにパン好きにはうってつけ。パンの製法から歴史、種類、材料、保存方法などの幅広い知識を学べば、愛好家としてさらに箔をつけることができるはずです。
この検定は、特に女性に人気のようです。私は名刺の裏に資格リストを載せているのですが、パンシェルジュ検定の記載を見た女性から「前から興味がありました」「私も持ってます」と言われたことは何度もあります。
それでは例題を見てみましょう。
〈問1〉日本では「パンの耳」と呼ばれるが、アメリカでは「パンの◯◯」と別な呼び方をされます。「◯◯」に入る言葉は①かかと、②耳たぶ、③口、④親指のうちどれ?
〈問2〉以下のうち、パンの消費量が多い都市トップ3に入らない地域は①京都府京都市、②大阪府堺市、③神奈川県横浜市、④滋賀県大津市のうちどこ?
実際の問題はマークシート形式や記述式で行われます。例題の答えは〈問1〉が①、〈問2〉が③となっています。
試験区分は3級から1級に分かれていますが、私が合格した1級になると、小論文の問題も出題されるため、やや難しかった印象です。
受検したのはかれこれ8年以上も前のことですが、その時の論文問題では、「パンをおいしく食べるために気をつけていること」について問われた記憶があります。知識だけではなく、パンへの愛情や熱意も試されるのかもしれません。
この検定ではパンの製法を学ぶこともできるため、資格取得を機にパン屋を開業するのもいいですね。
最近は1斤1000円以上もする高級食パンがブームになっているので、付加価値さえあれば高い単価でも勝負できるはずです。
また、海外にはまだ日本人になじみのないパンがたくさんあります。例えばモロッコのホブスというパンはかめばかむほど味が出ることで知られ、ジョージアのハチャプリはチーズとの組み合わせで、多種多様な味わいが楽しめるもの。来年の五輪イヤーには、あらゆる国から観光客が訪日するので、こうした珍しいパンが売り上げアップにつながる可能性もあります。
あまり立地に左右されないのもパン屋の強み。茨城県の自宅の庭に4畳半のパン工房を建てて開業し、年商8000万円に至ったケースもあれば、長野県の山の上に店を開き、オンライン販売と店舗販売で年商1億7000万円に達したケースもあるようです。
検定への挑戦で、思わぬ人気パンのアイデアが浮かぶかもしれませんね。
鈴木秀明(すずきひであき)/81年生まれ。東京大学理学部、東京大学公共政策大学院を経て資格アドバイザーに。取得資格数は600