北海道新幹線“延伸区間”に誕生する新八雲駅が「秘境駅確定」と囁かれるワケ

 開業予定時期が当初の30年度末から38年度末ごろの見込みと大幅に延期された北海道新幹線の新函館北斗―札幌の区間。北斗市と八雲町の間に建設中の「渡島トンネル」の地盤が脆弱であること、ニセコ町と倶知安町で工事中の「要諦トンネル」が巨大な岩塊で覆われていたことなどが原因だ。

 ただし、高架橋や新駅建設予定地では順調に工事が進んでいる。だが、その中には鉄道ファンから「秘境駅確定」と言われている駅がある。延伸区間では新函館北斗駅の次の駅にあたる新八雲駅だ。

 ちなみに札幌―函館を結ぶ、特急「北斗」の停車駅でもある八雲駅は町の中心部にあるが、新八雲駅の建設予定地はここから3キロ西の牧草地帯。実際、現地を訪れたが周囲に商業施設や民家はない。

 実際、22年に鉄道・運輸機構に提出された新八雲駅のデザインコンセプトは、「牧場の中にある駅~二つの海をもつ八雲の大地にたつ、牧歌的風景に調和したシンプルな駅~」。開業後は街の新たな交通の拠点になるが、八雲町の人口は1万4349人(※5月末現在)。

 しかも、この15年で4000人以上も減っており、同じ延伸区間にある札幌や小樽、ニセコと違って観光地やリゾート地ではないことから訪れる旅行客は少ない。

 住民たちにも話を聞いたが、「町民として期待しているが、どれだけ利用客がいるかという不安もある」「開業しても通過する新幹線も多そうだし、地元への経済効果がどれだけあるのか疑問」などと不安も口にしていた。

 現在、新幹線秘境駅として有名なのは、青函トンネルの青森側入口の手前にある奥津軽いまべつ駅。この10年の1日あたりの平均乗車人員は40人にも満たない。手つかずの自然が残っているという言い方もできるが、駅周辺もずっと閑散としたままだ。

 新八雲駅もコンセプトを聞く限りは、新たな新幹線秘境駅となる可能性が高いかもしれない。

※写真は、北海道新幹線・新八雲駅の建設現場

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