思春期男子特有の胸のしこりとは別物/健康宅配チェックシート〈乳がん〉(2)

 有名どころでいえば、23年にバブルガム・ブラザーズのブラザー・コーンが、ステージ2の乳がんを公表。シャワーを浴びている時に、左胸のしこりに気づいたという。

「女性の場合は乳房全体の上外側にしこりができるケースが多いですが、男性の場合は乳腺がほとんどないので乳首の直下にできます。パチンコ玉大の異物があるだけに、男性の場合は違和感に気づきやすい。ただし、普段から自分の乳房に注意を払う機会が少ないだけに、早期発見を見逃してしまうのが現状です」

 女性と同様に乳首から血や膿が混じった汁が出てくると、がんが進行している可能性が高い。

「乳がんがある程度大きくなると、周囲の組織を損傷させてしまいます。女性は乳白色や透明の分泌物ですが、男性は赤色や茶色など色濃い特徴があります」

 女性よりも男性の予後が悪いようで、

「乳腺組織が少ないだけに、乳がんがリンパや他の臓器にも転移しやすい。女性の場合は、乳腺組織が大きいので、その中に留まっている期間も長い。乳腺組織の外に転移しなければ、乳房を切除してがんを取り除くことが可能なのです。また、男性はホルモンに起因する乳がんも少ない。乳がん全体の7~8割は、エストロゲンという女性ホルモンが促していると言われています。そういったホルモンを抑制する治療法が、男性には効果がいまひとつとなるケースも少なくありません」

 もっとも、思春期の男子特有の胸のしこりとはまったくの別もので、

「思春期になると男性でも、女性ホルモンの分泌量が増える影響で乳腺が発達します。乳輪の裏側あたりにしこりが発生する場合がありますが、エコー検査をすれば乳腺組織が大きくなっているのか、あるいは異物ができているのかを確認できます。自然に治ってしまうので、心配する必要はありません。男性の乳がんは10代よりも60~70代に多く発症する傾向があります」

 もちろん、アルコール、肥満、喫煙は発症リスクを高める。

「脂質を好む人は注意が必要。肉類、加工肉、揚げ物などの高脂質食品は、リスクを高めるという研究結果が出ています。一方で、納豆などの大豆製品は予防効果に期待できます。大豆に含まれるイソフラボンは、がんのリスクを高めるエストロゲンを抑制する効果があります。毎日、積極的に食べることをお勧めします」

 男女関係ない病として予防に努めよう。

【「乳がん」セルフチェックシート ※月に1回が目安】

以下の項目のいずれか1項目でも当てはまれば医療機関へGO!

(両腕を大きく上げて鏡で目視!)
・乳房の変形や左右に差がある
・えくぼのようなへこみができた
・乳房に消えない赤みやひきつれがある(右腕を上げて左腕で右胸を10円玉大の「の」の字を描くように触る!)※左胸は逆
・乳房、乳首、ワキに硬いしこりがある(乳首を両手の親指と人さし指で挟むように絞る!)
・乳首から出血や異常な分泌物が出る

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