カレーもOK!? 1日のパフォーマンスをアップさせる「朝食」とは

「体内時計」という言葉を耳にしたことがある人は多いはずだ。一日の体温やホルモン分泌などの体内環境を調整し、日中には活発に活動できる状態、夜には自然と眠くなる状態など、約24時間の周期リズムを形成している。

 人間の体内時計は朝起きて光を浴びることにより、一日のリズムを刻み始めるが、通常24時間よりやや長い周期でリズムを刻んでいる。そのため、毎日少しずつずれが生じるため、毎朝一度リセットしなければならない。その時計のずれを整え、元通りに動かしてくれるために最も重要な役割を担ってくれるのが朝食だ。

 朝は1日のスタートで、これから体温や血糖値、ホルモン分泌、血液の流れなどが活発化する時間帯だ。だからこそ、動いていなかった体には十分なエネルギー補給が必要になる。ところが朝食を抜いてしまったらどうなるのか。身体はスカスカ状態のまま一日を始めなくてはならず、筋肉量が減少。結果、肥満や糖尿病、脳卒中のリスクが高まることが医学的にも明らかになっている。つまり、朝食を摂らずに1日を始めるのは、ガス欠のままクルマで高速道路に乗るようなものなのだ。

 では、もっとも効率よくエネルギーを補給するためには、起床後「いつ」「なに」を食べればいいのだろうか。先にも触れたように、起き抜けは栄養素が枯渇している状態。その状態で動き続けると体は、まず筋肉に含まれる貴重なタンパク質を分解し、ブドウ糖を生み出そうとする。そのため筋肉を衰えさせないためには、1時間以内にタンパク質を補給することが大切だ。しかも、朝は脂肪の分解に関わる肝臓が活発に活動する時間帯なので、多少の高カロリー食を食べても脂肪として溜め込まれにくい。つまり、その後活動量が上がっていく朝は、あっさりしたものでなく比較的カロリーの高い、ガッツリした食事をしても大丈夫。カレーやシチューのようなものなら、スパイスで体温上昇を手助けし、同時に野菜でバランスも整えてくれるので「朝カレー」や「朝シチュー」もお勧めだ。

 ただし塩分を処理する腎臓は、朝よりも夜に活発に働く。そのため高血圧の人は朝カレーではなく、「ツナサンド」を試してみるのもいいだろう。

 主にマグロやカツオなどの魚から製造されているツナ缶の魚油には、脳や血管に対する老化防止効果があり、さらに心疾患のリスク低下に効果が期待できるオメガ3系脂肪酸も豊富に含まれている。もちろん、時間がある人、あるいは「私はパンよりご飯派」という人は、焼き魚とごはん(炭水化物+タンパク質)でもOK。

 ただ、中には「わかってはいるけど、どうしても朝は量が食べられない」という人も多いだろう。そんな人にお勧めなのが「魚肉ソーセージ」だ。魚肉ソーセージはマグロやイワシを原料にしている商品が多く、ツナ同様、魚由来のタンパク質を手軽に取れることができる。しかも何も手を加えなくても食べることができるので、それこそ「起き抜けの1本」という感じで摂ってみるのもいいだろう。

 起床後1時間以内にたんぱく質を摂ることで筋肉が動き始める。それが、1日を通したパフォーマンスに大きく影響することを覚えておこう。

(健康ライター・浅野祐一)

ライフ