寿命を伸ばす魔法の「時間食事学」(2)朝の魚肉ソーセージが”黄金食”

 体内時計は脳の視床下部(視交叉上核)というところにある「主時計」と、臓器や筋肉、皮膚などの組織にある「末梢時計」から成り立っているが、ズレを直すためには日々の生活の中でリセットさせなければならない。そこで重要になるのが朝の光と朝食だという。

「朝、太陽を浴びることで主時計がリセットされ、食事をすることで、体内時計は新たな1日を刻み始めます。ところが、よく、ダイエット中なのでカロリーを気にして朝食を抜いている、という人がいますが、これがかえって太る原因になるんです。人間の体は摂取するカロリーを減らすと、使う量も減らしてしまう。つまり、食べる量を減らせば使う量も減るというふうにできているのです。きちんと朝食を食べたほうが、体は『これから1日カロリーをいっぱい摂れる』と勘違いする。だから使ってもいいなと、エネルギーをたくさん使うようになるんです」

 朝食の時間を規則正しく固定したグループと自由にしたグループとに分けた実験では、固定した前者より自由に食べた後者グループに「太った」という結果が表れたという。

「ほかにも『週に2回だけ朝食を食べる』という人が最もメタボになるリスクが高いという発表もあるんです。つまり、食べるなら毎日食べる。あるいは、毎日食べないなら食べないほうがいい。そのほうが規則正しいので体内時計は狂わない。逆に食べたり食べなかったりすると肥満になりやすくなります。朝御飯はやっぱり体によさそうだからたまには食べようか!と、時々頑張って食べることが実はいちばん悪い食事習慣になるということなのです」

 まさに活力の源となる朝食。では具体的に何を食べればいいのか。大池氏が言うには、炭水化物プラスたんぱく質だというのだ。

「頭の体内時計(主時計)は光でリセットされますが、体の体内時計(末梢時計)をリセットするためには食事からの情報が必要になります。その情報を最も多く持った食事が、炭水化物とたんぱく質なんです」

 忙しいビジネスマンの中には、朝はトーストとコーヒーだけで済ませる、という人も多いだろう。

「炭水化物だけだと食事をしたという情報が少なく、せっかく朝御飯を食べても『今、朝が来た』という体内時計のリセットがかかりにくいんです。言うなれば、朝日を浴びられない曇った日の朝のような状態。一方、炭水化物にたんぱく質をプラスして摂れば、朝光を浴びたような状態になるんです」

 炭水化物とたんぱく質を同時に摂取することで発熱を促し、体は活動モードに切り替わる。そんな朝食のたんぱく質源としてお勧めなのが、なんと魚肉ソーセージだという。

「たんぱく質を多く含んだ魚肉ソーセージは夜間の絶食による筋肉の分解を止め、さらに含まれている魚油が、インスリンの分泌を促すことによる血糖値の上昇を抑止、体内時計のリセット増強にも役立ちます」

 もちろん、焼き魚や煮魚でも同じ効果は得られるが、忙しい朝に魚を調理するのは面倒。その点、魚肉ソーセージならそのまま食べられるから手軽というわけだ。

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