「髪の毛は総裁選時より薄くなり、しかも朝、官邸に入る時の顔つきに覇気がなく、どよーんと疲労困憊の表情で顔色がどす黒い。周囲は少し休養をとったらと進言しているようですが…」
石破茂首相の健康状態を懸念し、こう明かすのは官邸関係者だ。
石破氏は、8月に岸田文雄前首相が退陣公表後、総裁選、即総選挙、組閣に加え、外遊では、バイデン米大統領、習近平国家主席らとの会談と、息つく暇もなく突っ走ってきた。官邸担当記者も言う。
「総選挙で石破氏が走破した距離はのべ約1万4000キロと地球3分の1周で、各党党首と比べても断トツでした。10月27日の投開票では自民党が大敗して打ちのめされましたが、11月11日の特別国会では、決戦投票で総理に指名された。その際、議員席で目をつむり俯いている様子に、SNSでは《一国の総理を決めるときに居眠りとは何事か》という批判も飛び出したほど。これには、林芳正官房長官が、風邪薬を処方されたため、と弁明しましたね。総裁選から臨時国会までの休養日はたった1日と聞いています」
しかし、官邸や記者らの間で首相の健康がもっとも話題になったのは、外遊前の1週間に、立て続けに2度も「病院通い」をしたことだった。9日には東京・三田の国際医療福祉大三田病院で約1時間50分の検診、その4日後には、東京・赤坂の赤坂山王メディカルセンターで約30分間の健康診断を受けた。林氏は「海外出張のため予定されていた健康診断で、特に問題があるわけではない」と述べて平静を装ったが、歴代首相が間をおかずに病院通いした例はほとんどないため、番記者の間では「すわ、石破首相に健康問題発生か」と緊張が走ったという。
「首相の病気」で思い浮かぶのは、2000年4月に脳梗塞で倒れ、後に亡くなった小渕恵三氏だろう。
「もともと軽い心臓病の持病があった小渕氏だが、その持病を加速させたのは、首相というハードワークともいわれている。実際、小渕政権時には不況が深刻化し、金融危機に直面して株価が急落、支持率も厳しかった」(自民党関係者)
当時、官邸の記者らが総じて感じていたのは、小渕氏の顔色が日々悪くなって疲れ切ったように見えたことだという。
「石破政権は衆院では少数与党であり、しかも初の本格的論戦の場となる臨時国会では『年収103万円の壁』を突き付け自民党に大幅譲歩を迫る国民民主党がいる。また、年明けからはトランプ次期大統領による日本への強硬論も予測される。とはいえ、そんなトランプ氏とのホットラインは未だ見つけられない状況。待ったなしの政治改革もあるし、ストレスのオンパレードだ」(前出・関係者)
石破氏にとっては針のむしろ状態が続くが、今の精神的、肉体的状況でこの難局を乗り越えることができるのか、官邸も番記者も気が気ではないようだ。
(田村建光)