さまざまな人が持っている「お宝」を、古美術商などの専門家が鑑定し、番組独自の見解に基づいて値段付けを行う「開運!なんでも鑑定団」(テレビ東京系)。これまでの鑑定最高額は、2005年9月27日に放送された「柿右衛門様式の壺」の「5億円」だ。
この時、鑑定を依頼したのはドイツの名家ヘッセン家の当主で、「本人評価額」は1000万円だったが、鑑定士の中島誠之助氏と阿藤芳樹氏が直接ドイツの依頼人の自宅を訪問し、国宝級の価値があると「5億円」を提示。今でも番組の歴代最高評価額になっている。
本人評価額をはるかに上回る結果が出る一方で、反対に大きく期待を裏切るケースも少なくない。中でも今年10月29日に放送された「唐三彩 3点」は、過去イチといっていいレベルのガッカリケースで、番組を逆の意味で大いに盛り上げた。
この日、鑑定に出されたのは、大分市の不動産業者が持ち込んだ「唐三彩 3点」。唐三彩とは唐代の鉛釉を施した陶器で、同じ大分市内に住む資産家の叔父が30~40年ほど前に骨董店から1000万円で購入したものだった。叔父が独身で子どもがいないことから、高額がついたら売却額の1割をもらう約束をしたというが、実際の鑑定結果は驚くべきことに…。テレビ誌ライターが語る。
「鑑定士の総評は、近代になって作られた『模造品』で、使われている藍色の顔料が悪く、本来競走馬のような筋肉質の馬は形が悪く、『まるで農耕馬のよう』と評されるなどボロクソでした。評価額はわずか『8万円』でしたが、これを1000万円で購入したというのですから、992万円をドブに捨てたことになります。恐らく番組史上最悪といえるニセモノだったんじゃないでしょうか」
過去には2000万円分の美術品と交換して手に入れた柿右衛門様式の夫人座像が、わずか2000円だったこともある。金額の大小にかかわらず、こうしたギャップに一喜一憂するのが、番組が長い間続いてきた一因なのかもしれない。
実は同番組では2010年ごろから、スタジオに「AED(自動体外式除細動器)」が設置されている。これはまさかの鑑定結果にショックを受けた依頼人のことを考えて設置されたのだとか。
最後まで使用されないことを祈るばかりだ。
(ケン高田)