「私はトランプ氏がどのような類いの人間か知っている」
7月23日、次期大統領選の行方を左右する激戦州の中西部ウィスコンシン州で、支持者に向けてこう演説したハリス氏。ハリス氏は元検察官という経歴を強調、今回の選挙を「検察官VS犯罪者」と位置づけ、トランプ氏批判を展開していくことになるようだが…。
「28日のハリス陣営の発表によれば、バイデン氏が撤退を表明、後継者にハリス氏を指名して以降1週間で集まった献金額は2億ドル(307億円)超。これは大統領選史上最高額の草の根募金で、しかも陣営側は、全体の66%が今回の大統領選で初めて献金した人だったとしています。28日に発表された世論調査でも、ハリス氏の好感度が前週より8ポイントも急上昇。特に無党派層による両者の好感度は、トランプ氏の27%に対し、ハリス氏は44%と前の週から大幅に数字を伸ばしていますからね。基本、アメリカ人は初物好きで知られていますが、とはいえ、この数字は民主党内でも驚きを持って受け止められたようです」(外報部記者)
そんなことから、この1週間で「確トラ」とも言われたトランプ氏の当確予想に黄色信号が点滅し、反対に「もしハリ」の声が大きく響くようになってきたようだ。
ハリス氏は今後、トランプ大統領の“再来”を不安視する黒人層や、ヒスパニック、さらに人工中絶の権利問題を主張しながら、女性票を取り込み、若者層を中心に選挙戦を展開していくことになるが、加えて反トランプ派の白人層をどこまで取り込めるかが、カギを握ることになることになりそうだ。
「前回の選挙戦で敗れたヒラリー氏は弁護士出身。一方、ハリス氏は検事出身ということもあり、舌鋒の鋭さは折り紙付きです。ただ、副大統領としての実績がほとんどないことから、外交経験不足を懸念する声があるのも事実。とはいえ、かねてからイスラエル軍によるガザ攻撃で民間人に多数の死者が出ていることを批判するなど、人権問題に関する意識は高い。そんな主張が今後、若者や女性にどう届くかも大きな争点になるはずです」(同)
では、仮にハリス氏が大統領になった場合、日本との関係はどうなるのだろうか。専門家によれば、ハリス氏の政策は基本、バイデン政権のリベラルな政策の流れを引き継ぐと予想され、バイデン氏が掲げた「2035年までに電力部門の炭素排出ゼロ」政策のもと、再生可能エネルギーと気候変動対策を推進していくと見られている。
「つまり、再生可能エネルギー分野の企業は恩恵を受けることになるでしょう。また、米国内における老朽化したインフラ整備のため、日本の鉄道関連企業や建設業、機械業界が潤う可能性もある。一方、ハリス氏は多国籍企業や軍需産業企業、化石燃料産業の法人税率を35%(現在21%)に引き上げるとしているため、これが実現した場合、米国に多くの投資先を持つ企業への打撃は避けられないでしょうね」(同)
「もしトラ」VS「もしハリ」の行方を世界が固唾を飲んで注視している。
(灯倫太郎)