そんなバカな!「老後資金は4000万円必要」に脅されない方法(2)生命保険は見直し効果大

 とまれ、やれる範囲内で自分の身は自分で守るしかない。そこで考えられる解決策は2つ。4000万円まで資産を増やすか、なるべく働いて4000万円の負担を軽くするかのどちらかだ。

 まず資産形成について、家計の専門家であるファイナンシャル・プランナーの清水香氏はこう説明する。

「老後資金がいくら必要なのかについては、答えは各人で変わってくるので、4000万円という数字に踊らされる必要はありません。自分らしい暮らしを実現するにはいくらお金が必要なのか、具体的にマネープランを考えることが大切です。そこで老後資金を増やしたいのであれば、国が推進する2つの非課税投資制度である新NISAとiDeCoがやはりお薦めです」

 新NISAについて改めて記せば、年間投資枠が、つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円の計360万円で、トータル1800万円(成長投資枠1200万円)までは、非課税になる制度だ。またiDeCoは、月額5000円から始められる個人年金で、60歳以降になって引き出すまでの運用益が非課税となる。

「NISAは資産形成のための、iDeCoは老後資金作りのための仕組みで、いずれも中長期で余裕資金を増やす手段として有効な制度です。いずれも運用の中心になるのは短期的には大きく値が動くこともある投資信託などですから、10年以上使う予定のないお金で臨むのが基本です。なお、NISAはいつでも引き出し可能ですが、iDeCoは原則60歳まで引き出せません」(清水氏)

 そして資金作りも重要だが、家計を見直して無駄な出費をしないことも重要だと清水氏は説く。

「家計負担が重く、見直しで大きな効果が上がることが多いのが、生命保険と通信費です。特に生命保険は、約9割の世帯で年間平均約38万円もの保険料を支払っています。しかし生命保険の加入以前に、健康保険や公的介護保険、老齢年金など、公的な社会保障がベースにあります。生命保険は万人が入るべきものではなく、必要性に応じて個々に検討すべきものです。また車を持っている場合は、居住地域にもよりますが、カーシェアリングサービスが充実してきた現在、マイカーは生活必需品か贅沢出費であるか再検討が必要です」

 ムダな保険や自動車は思い切って断捨離すべし!

(つづく)

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