10月1日から消費税がいよいよ8%から10%にアップしますが、この機会に、ぜひ知っていただきたい検定が、「消費税法能力検定」。簿記能力検定などを手がける「公益社団法人 全国経理教育協会」が主催し、企業内での消費税の処理方法や、消費税にまつわるさまざまな実務知識などが学べる検定です。
この検定では、いったいどんな問題が出題されるのでしょうか。さっそく見てみましょう。
〈問1〉消費税が課税されるのは、①小学校の教科書の購入費、②ガス会社に支払う公共料金、③助産師に支払う業務料金、④デパートの商品券の購入費のうちどれ?
〈問2〉税務署に消費税の申告をする必要がない事業者は、年収や年商が①100万円以下、②500万円以下、③1000万円以下、④2000万円以下のうちどれ?
実際の試験では選択問題以外にも、記述問題や計算問題が出題され、試験会場は同協会が指定している全国各地の専門学校。例題の答えは、〈問1〉が②、〈問2〉が③です。
試験区分は3級、2級、1級の3つがあり、私は1級に合格しています。経理業務になじみのない人には「なんだか難しそう‥‥」と敬遠されがちですが、市販の過去問題集を繰り返し勉強すれば合格できると思います。
実際には税理士を目指す人や会社の経理担当者が受験しているようですが、この連載で何度もお話ししているように、もし将来的に何らかの業種でフリーランスへの転身を目指すならば、ぜひ受けておいたほうがいい検定です。
たとえビジネスで大成功を収めたとしても、消費税に無知だったばかりに、消費税法違反(脱税)で逮捕されてしまう‥‥なんてことも考えられるからです。
また、独立開業と聞くと、すぐに会社の設立を思い浮かべる人は多いかもしれません。しかし、個人事業主としてビジネスを立ち上げれば、初年度で売り上げ1000万円を超えても、消費税の納税義務が発生するのは原則3年目から。
会社を設立するにしても、資本金1000万円未満で法人登記すれば、1年目は免除となり、2年目以降も条件によっては免除になることをご存じでしょうか。
つまり、いきなり資本金1000万円の法人を設立して起業するのと、個人事業主を経て少ない資本金で会社を設立するのとでは、納める消費税の額に大きな差が出てくるわけです。
あるいは、輸出業種で事業を行う場合、その売り上げに消費税はかかりません。輸出商品の仕入れや経費に課された消費税については、確定申告を行うことで還付を受けることができます(※前述の免税事業主の場合は適用されません)。
消費税に関して正しい知識を得ることで、納税の意識と節税のノウハウを育んでいきたいですね。
(すずき・ひであき)