やはりNPBのボールは「飛ばない」のか。昨年、リーグ3連覇を果たしたオリックスは、チーム本塁打数リーグトップだったものの、109本にとどまった。最低は西武の90本だが、それ以外のチームも軒並み100~104本とふるわない。また本塁打王は1995年の小久保裕紀の28本以来となる20本台で、26本で3選手が分け合う低レベルな争いを繰り広げた。
一方のセ・リーグは巨人が164本と他チームを圧倒したが、最下位の中日はわずか71本。12球団全体の本塁打数は1160本で、これは前年比で144本減、21年との比較では289本減となっている。
パドレスのダルビッシュ有は、「最近、やっぱり過去2年ぐらい日本のボールが飛ばなくなっている。データ的にもあるのを見て、一概に打者のレベルが上がってないっていうわけでもないのかなって」などと発言しており、どうやらボールが飛ばないというのは、プロの目から見ても明らかなようだ。
「2011、12年に使用されていた『統一球』は非常に反発係数が低く、飛距離が出ませんでした。そのため『違反球』などと揶揄され、NPBの信用を低下させました。当時の打者の得点への貢献度を表すOPS平均はセ・リーグが.648、パリーグが.658でしたが、昨年はそれぞれ.668、.664でほぼ変わらないレベル。NPBは現在のボールの反発係数を発表していませんが、少なくともOPSが平均.700は超えるようにならないと、野球自体の面白みがなくなってしまうでしょうね」(スポーツライター)
かつては数年に1度あるかないかという「ノーヒットノーランゲーム」もここ2年は、ロッテ・佐々木朗希の完全試合と合わせて7度も達成されている。投手の実力が向上したというよりは、ボールが飛ばなくなったと考えるほうが自然といえるのではないか。
プロの中でもごく一般的な能力の投手がストライクゾーンに投げるだけでそこそこの防御率に収まる野球をファンは見たいわけではない。果たして今季も投高打低の野球を見せられるのか。
(ケン高田)