中国企業のカジノを含む統合型リゾート(IR)事業への参入を巡り、2019年に収賄容疑で逮捕、起訴された秋元司元衆院議員(51)の事件を捜査した特捜部は、当時から秋元議員の再エネ人脈も捜査しており、昨年2月には、政界フィクサーとして知られた矢島義成氏と、同氏が代表を務める「大樹総研」を家宅捜索した。こちらの容疑は金融商品取引法違反だったが、矢島氏が自民、旧民主党の両方に豊富な人脈を持っていたうえ、再エネ関連業者にも強いのは、つとに知られるところである。
さらに今年3月、特捜部は太陽光発電事業を巡る業務上横領事件で、国際政治学者の三浦瑠麗氏(43)の夫を逮捕している。
こうした一連の流れは、表面的には別の事件に見えるが、人脈の一部は重なり深層部分ではつながっている。地検特捜部には膨大な再エネ事業に関する情報や知見が集まっており、次はどの業者が、またどの国会議員が逮捕されるのか、と囁かれている。再エネ業界には太陽の光が届かない漆黒の闇が潜んでいるのだ。
再び、小池都知事に戻る。2022年9月、中国・新疆ウイグル自治区の強制労働などの人権問題を糺した都議会での自民党都議の質問に、小池知事は次のように答えた。
「人権問題がグローバルなサプライチェーン(供給網)での課題であるとの認識のもと、各国の状況を注視し、SDGsを尊重した事業活動を促進していく」
どうだろうか? 筆者には、質問にまともに答えずに、煙に巻いているようにしか思えない。
連載第1回で記したように、中国製パネルの多くは新疆ウイグル製であり、米国は2018年、トランプ政権でその輸入価格に30%の関税をかけた。2022年の時点で、段階的に15%まで下げてはいるが、バイデン民主党政権も米国市場から中国製パネルを締め出そうという意思を隠さない。
今、東京都はこの米市場から締め出された中国製の太陽光パネルを大量に引き受けようとしている。さらに、太陽光パネルだけではなく、電気自動車にまで補助金を出している。これに意を強くしているのは、誰あろう、中国なのだ。
こうした補助金の原資は当然、血税である。東京都は日本企業よりも中国を助けることにご執心なようにしか見えないのだ。
無理を通せば道理が引っ込むとばかりに、太陽光パネル設置義務化の旗振りをする小池都政を、売国政策と言わずとして、何と言うべきか。
三枝玄太郎(ジャーナリスト)1991(平成3)年、産経新聞社入社。社会部などで警視庁担当、国税庁担当、東北総局次長などを歴任。 2019(令和元)年退社。以後はフリーライター。主な著書に「19歳の無念 須藤正和さんリンチ殺人事件」(角川書店)、「SDGsの不都合な真実」(共著/宝島社)など。文化人放送局で水曜日レギュラー、「Xファイル 未解決事件」に出演。YouTube「三枝玄太郎チャンネル」を配信中。
*「週刊アサヒ芸能」10月19日号掲載