9月2日、企業家の前澤友作氏がⅩ(旧Twitter)でFacebook社(現・Meta)を相手に「闘争宣言」を行った。フェイスブックやインスタグラムで、自分の写真を勝手に使った詐欺広告が大量に見つかったとして、その「責任追及」をするというのだ。
「前澤氏以外にも、成田悠輔、三木谷浩史、与沢翼、ウォーレン・バフェットといった、SNSと親和性が高そうな経営者や投資家、経済評論家らの名前と写真で勝手にアカウントが作られて、あやしい投資広告に誘導するなどの被害が出ているのです」(経済ジャーナリスト)
前澤氏は、これを放置している会社側に問題があるとし、Facebook Japanに、弁護士を通じて内容証明付き「通知書」を送付して抗議。これに対し9日2日にFacebook Japanから返事があったというが、これが木で鼻をくくったような内容だったという。
「前澤氏はこの回答をX上に公開しているのですが、Facebook Japanからの返事を要約すると、日本国内に居住する利用者に向けたMeta製品の管理又は運営は行っていない。また、Meta社とFacebook Japanは別法人なので、対応することができない。問い合わせは米国デラウェア州の法律に基づき組織されているMeta社にしてほしい…というニベもないものでした」(同)
これに前澤氏は怒り心頭。Meta本社へのレターを準備するとともに、Facebook Japanへの責任追及も徹底すると宣言したのである。
もともとマイクロソフトやGoogle、Twitterといったアメリカを中心にした世界的テック企業は、日本で会社登記を行っていなかったことから、20年に日本政府が登記を行うよう求めた経緯がある。これを受け、多くのテック企業が日本で法人登記をしているが、少なくともMetaに関しては形だけだったようだ。
それにしてもMetaという会社は、どうも社会と対立する性質のようだ。
「若者のSNS依存について、21年には同社のアルゴリズムが青少年の精神的健康を害することを知りながらそれを放置していたと、元社員がアメリカ議会で証言しました。つい最近でも、Facebookがカナダ国内で供給するニュースに関してカナダのメディアに使用料を払わなければいけないことに抵抗してニュース使用を停止。カナダで大規模な山火事が発生しても情報インフラとしての役割を一切果たさなかったことから、カナダのトルドー首相から『人々の安全よりも、会社の利益を優先』と批判されました」(同)
カナダでの一件も、法律をタテに塩対応を決め込んだ態度は今回と同じ。新SNSのThresds(スレッズ)が結局はⅩに対抗出来ずに不発に終わったのも、こうした企業体質に要因があると言うのは言い過ぎだろうか。
(猫間滋)