世界で一番遅い「初日の出が2月15日」の町があった!

 日本人にとっては特別な意味を持つ、1月1日の元日の朝に昇る「初日の出」。日本海側や北日本では雪が降ることが多いため、拝めない年も少なくない。つまり、それだけ貴重なわけだが、地球上には天候に関係なく元日以外に初日の出が昇る地域もある。

 なぜこんなことが起きるかというと、それは緯度と関係している。北緯66.6度を超える北極圏では、太陽が1秒たりとも顔を出さない「極夜」の時期があるためだ。

 その年によって多少前後はあるものの、スカンジナビア半島の北側に位置する〝北欧のパリ〟と称される北緯69.4度のトロムソ(ノルウェー)の初日の出は1月15日、同71.2度に位置するアメリカ大陸最北端のバロー(米国)は1月22日。なかでも北極海に浮かぶスヴァールバル諸島にある人類北限の町、同78.1度のロングイェールビーン(ノルウェー)は2月15日と通常より1ヶ月半も初日の出が遅い。

「いずれの町も飛行機の定期便が毎日飛んでおり、極北観光をする方に人気の場所です。北極圏で極夜明けは〝太陽の日〟と呼ばれ、もうひとつの正月としてご馳走などでお祝いするのが現地の習慣になっています。そのため、この時期に合わせて旅行に行く人が多く、地元では観光シーズンになっています」(旅行誌編集者)

 ちなみにノルウェーではドーナツをチョコレートでコーティングした「ボッレ」と呼ばれるお菓子を極夜入りと明けに食べるのが定番。ホテルやレストランでも提供され、極夜明けは赤や黄色など明るい色にするのが習わしだという。

「しばらくの間は極夜が明けても日が昇る時間は短いですが、その前後の薄暗い時間帯はすごく幻想的で日本の雪国とはまた違った雰囲気があります。気温はマイナス10度〜20度の世界なので洒落にならない寒さですけどね(苦笑)」(前出・編集者)

 23年になった今からでも間に合う北極圏の初日の出。興味とお金に余裕のある方はぜひ!

(高島昌俊)

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