世界が疑心「東京五輪疑獄」で2030年冬季五輪「札幌招致」は絶望的か

 東京五輪・パラリンピックの大会組織委員会理事だった高橋治之容疑者が受託収賄容疑で6日、再逮捕された。出版大手「KADOKAWA」の元専務ら2名も同容疑で逮捕。東京地検特捜部は両容疑者と同社トップの角川歴彦会長の自宅の家宅捜索も行っている。

 7日には同じく大会スポンサーだった「パーク24」にも捜査のメスが入り、東京五輪をめぐる汚職事件の逮捕者は今後さらに増えそうな勢いだが、これが、札幌市が名乗りを上げている「2030年冬季五輪」の開催地争いに影響することは必至。汚職の発覚前から地元住民の反応はよくなかったとはいえ、コロナ禍での東京五輪の大会運営がIOCから高く評価され、当初は最有力候補地と伝える海外メディアもあった。

 ところが、一連の五輪疑獄により、候補地選定の投票権を持つIOC委員の心証は一気に悪化。ロビー活動も芳しくなく、札幌市は本命ではなくなっているという。
 
「02年冬季五輪が行われたソルトレイクシティ、10年開催地のバンクーバーの北米2都市も招致に名乗り。さらに22年冬季五輪をめぐる争いでは北京に僅差で敗れたアルマトイ(カザフスタン)も初の開催を目指しています。しかも、招致を望む住民の割合はいずれの都市も札幌市より高い。建前と化しているとはいえ、五輪のモットーは“公平”と“公正”。汚職事件で逮捕者まで出た以上、ゴリ押しは無理でしょう」(スポーツジャーナリスト)

 札幌市の秋元克広市長は「汚職事件と札幌五輪招致は別なものと考えている」と6日の定例会見で語ったが、世間やIOC委員たちがそう見てくれる保証はない。実際、札幌市某区役所の40代男性職員は、「一般職員の間では諦めムードが漂っています」とすでに白旗を上げている。

 12月には最終候補地が絞り込まれ、来年5〜6月にインドのムンバイで行われる第140次IOC総会で正式決定の運びとなる。世界中のメディア、スポーツファンが日本の“五輪運営の闇”に目を光らせ、大逆風が吹くこの状況で、札幌の選出はあるのか今後の行方を見守りたい。

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