この日も「4打数ノーヒット」だった。
8月11日の広島戦に敗れ、東京ヤクルトは6連敗を喫した。最大「28」もあった貯金は「17」まで減少。2位DeNAとのゲーム差も「7」にまで縮まった。
独走態勢も危うくなりつつあるなか、一矢を報いたのが村上宗隆の40号アーチだ。22歳でのシーズン40本塁打到達はNPBの最年少記録だという。
「村上は三冠王になる可能性もあります。チームも村上を中心に動いています」(スポーツ紙記者)
対照的なのが、山田哲人だ。同日の山田は4打数ノーヒット。惜しまれるのが第2打席、両チーム無得点で迎えた3回、2死三塁のチャンスで山田に打順が回ってきたが、セカンドへの凡フライ。今季は打率2割4分4厘と“らしくない”不振に陥っている。
「去年の盗塁数が『4』、今季もまだ『8』と少ない状態です。2019年に33盗塁を最後に、近年の盗塁数は1ケタ台です」(前出・同)
今年30歳を迎えた。“勤続疲労”もあるのかもしれないが、まだ衰えるような年齢ではない。しかし、こんな指摘も聞かれた。
「8月7日の巨人戦です。巨人・吉川の三塁打で逆転を許しましたが、セカンド・山田の守備範囲でした。走攻守ともにキレがないというか…」(球界関係者)
不振の一因として挙げられているのが、「野球環境の変化」だ。
ヤクルトは“村上のチーム”に変貌した。7月に新型コロナウイルスの集団感染が確認されたときもそうだったが、強いリーダーシップを発揮し、勝敗に関係なく、常に声を出しているのも村上だ。好機で打席が回ってくれば、「オレが決めてやる」といった気迫も伝わってくる。
かつての山田もそうだったが、今は自分が決められなくても、村上が決めてくれる。そんなリーダーの交代劇がモチベーションに影響しているのかもしれない。
村上が三冠王なら、山田にはトリプルスリー3回の実績と経験値がある。山田の復調がなければ、ヤクルトが2位チームを引き離すことはできないだろう。
(スポーツライター・飯山満)