2030年冬季五輪の開催地に名乗りを上げている北海道札幌市。1972年に冬季五輪開催の実績があり、当時の施設をリニューアルして使用できるところが多く、低コストでの準備・開催が可能だという。それでも地元住民からの強い反対が予想されているが、IOCは有力候補地として見ており、内定する可能性が高いとの報道もある。
だが、仮に札幌での開催が決定したとしても大きな不安材料が存在する。それは天候だ。
北京五輪、その前の平昌大会でも大会運営者を悩ませた深刻な雪不足。だが、札幌の場合はその逆だ。札幌は冬季五輪の歴代開催地の中でもトップクラスの豪雪地帯。2月5〜6日の24時間に観測史上最多となる60センチのドカ雪を記録し、札幌発着のJR全線が3日間運休。完全復旧が14日だったことは記憶に新しい。
「しかも、この大雪で札幌市内の路線バスや札幌と道内各地を結ぶ高速バスも運休。自治体のゴミ収集車も臨時運休となり、道路脇に高く積まれた雪の影響で大渋滞が起きてスーパーに食料品が届かないなど流通網にも大打撃を与えました」(地元紙記者)
冬季五輪の誘致を勧めたい関係者の間で懸念されるのは大雪の影響。札幌では雪が少ない年でさえもシーズンに数回は、公共交通機関が麻痺するほどの大雪に見舞われている。もし五輪開催中に大雪となれば、選手やメディア関係者、観客の移動に深刻な問題が生じ、大会運営にあたって大きな支障となるのは言うまでもない。
「スケートのような屋内競技場で行う種目は大丈夫ですが、スキーなどの屋外競技にはメダルを左右するほどの影響が出るのは容易に想像できます。さらに吹雪となれば競技中止に伴う日程問題もありますし、そのまま続行してもテレビ中継の映像でもよく見えないなんてことも起こりうるでしょう」(同)
確かに、今月五輪を開催したのが北京ではなく札幌なら大混乱に陥っていたのは間違いない。開催候補地に名乗りを上げるには、まずこちらの問題をクリアする必要がありそうだ。