2月14日、家電販売大手のヤマダホールディングス(HD)は、連結子会社のヤマダデンキが同じく連結子会社である大塚家具を5月1日付けで吸収合併すると発表した。これにより大塚家具は法人としては消滅することとなったが、大塚家具凋落の戦犯として批判され続けてきた大塚久美子元社長には一転して同情の声も寄せられている。
「ヤマダHDによれば、『両社が一体となることによるシームレスな営業の強化、お客様利便性の向上、業務処理面での効率性を高める』などの理由から合併することを決めたといいます。今後もブランドとしては残される見通しではありますが、吸収合併の一報にネット上でも驚きの声が相次ぎ、一時『大塚家具』がSNSでトレンドトップとなるなど大きな話題となっています」(ITジャーナリスト)
大塚家具は久美子氏の父・大塚勝久氏(匠大塚会長)による会員制の高級路線で台頭したが、勝久氏と娘の久美子氏と経営方針を巡って対立し、お家騒動として連日メディアを賑わせた。2015年には株主総会で久美子氏が社長として選ばれたものの、新たに打ち出したカジュアル路線で業績は低迷。19年にはヤマダHDと資本業務提携をしたが、その後も業績不振が続いたため20年に久美子氏は社長を辞任していた。
「21年には上場廃止してヤマダHDの連結子会社になっていて、ついには会社としての大塚家具は消滅することになりましたが、ネット上では《大塚家具の業績低迷は久美子さんばかりが批判されていたけど、お父さんが『匠大塚』を設立して客の大部分を奪っていったのも大きな原因のひとつだよね》《久美子氏がカジュアル路線に切り替えたこと自体はそこまで悪い判断じゃない。お家騒動が報道の餌食になってマイナスイメージが付いてしまったのも不運だった》など、意外にも久美子氏を擁護する意見が多く寄せられています。ここ数年の家具業界は『ニトリ』一強状態で、帝国データバンクの調査によれば19年には家具店の倒産が東日本大震災以降で最多となるなど、ニトリ以外のほとんどの家具店も厳しい状況。大塚家具消滅の原因をすべて久美子氏に背負わせてしまうのは可哀想なのかもしれません」(経営コンサルタント)
なお、久美子氏は日本テレビの取材に対して「(吸収合併は)知りませんでした。コメントする立場にありません」と話しているが、心中やいかに。
(小林洋三)