「共同通信」が12月26日、世界上位1%の超富裕層の資産が世界全体の個人資産の37.8%を占めたことが分かったと報じ、さらに下位50%の資産が世界全体のわずか2%だったことから、拡大を続ける格差社会へ懸念の声が相次いでいる。
「フランスの経済学者、トマ・ピケティ氏が設立した世界不平等研究所が7日に発表したレポートによれば、超富裕層の2750人が世界の富の3.5%を独占していることも明らかとなっています。1995年にはこの割合は1%だったそうなので、四半世紀で3.5倍も拡大していることになるのです。なお、超富裕層の富が増えるペースは新型コロナウイルスの感染拡大以降から加速しているといい、同研究所のメンバーは『極めて不平等な格差がますます広がった』と指摘しています」(経済ライター)
この傾向は日本でも顕著で、昨年12月に「野村総合研究所」が発表した「富裕層アンケート調査」では、1億円以上の資産を持つ富裕層の純金融資産は333兆円と11年からおよそ1.8倍に増えていると報告。その一方で今年12月17日に公益財団法人日本生産性本部が発表した「労働生産性の国際比較2021」では、20年の日本の1人当たり労働生産性は約809万円とOECD加盟国38カ国中28位と低い水準にあり、貧困層の増加が指摘されているのである。
「日本では特に生活に困窮する貧困層が増えていることが問題となっていて、21年度上半期(4~9月)には、生活困窮者の相談を受け付ける『自立相談支援機関』への新規相談数が計30万7072件に上っていたことが厚生労働省の集計で明らかになっています。20年度の同期から比べれば減少していますが、19年同期比では約2.5倍と高い水準になっている。そんな状況でも貧困層への支援は不十分で、ネット上では《それでも政府は18歳未満の子育て世帯そして大企業の従業員の所得アップしか見ていない》《一番困っている人は何も給付されないという現実》など絶望する声が相次いでいます」(ITジャーナリスト)
一部の超富裕層はより大きな富を得て、その一方で貧困層は拡大して困窮した生活を余儀なくされている。
(小林洋三)