静岡市内で移転が進められている病院に関連して、政府の新型コロナ対策分科会で会長を務める尾身茂氏が、移転に反対する住民のやり玉に挙がっているという。一体何が起きているのか?
「移転が進められている病院は清水区にある桜ヶ丘病院。開設から60年が経過したため建物は老朽化が目立ち、また耐震補強工事も行われていないといった事情のため、JR清水駅近くの公園に移転を決めたそうです。付近の住民からは病院が移転してくることによる地域の活性化に期待する声もありますが、その一方で建設予定地が海から200メートルで標高も低く、大地震による津波浸水想定区域であることから移転に反対する意見も多いようです」(病院関係者)
津波という命に関わる問題のため、反対住民と病院側の話し合いは紛糾しているようで、反対運動を行う住民の中には、「#尾身さん聞いて」と書かれてプラカードを手にする人もいるという。
「尾身さんは桜ヶ丘病院を運営するJCHO(独立行政法人・地域医療機能推進機構)の理事長ですからね。住民としては、あの尾身さんなら話を聞いてくれるのでは、という思いがあるのかも知れません」(同)
なお、懸念される津波対策として病院側は、7階建ての新病院の1階は吹き抜けで駐車場スペースとして使うこと、入院病棟は5階以上であることを明かし、尾身会長自身も「心配なし」と語っているというが、反対意見を直訴しに都内のJCHO本部までやって来た住民への説明に、尾身氏は姿を見せなかったのだという。
「尾身さんが一度、反対住民の前に出て説明をすれば、理解してくれる住民も少なくないと思うのですが、コロナ対策で多忙の身ですから、はたして実現するかどうか…」(同)
今後、反対住民と病院の間の溝が埋まることはあるのだろうか。尾身氏としては、オミクロン株とは別に“尾身苦労”の種を抱えてしまったといったところか。
(石見剣)