「BIGBOSSと呼んで!」─ぶっとび会見から4日後、日本ハムの新監督が沖縄キャンプで本格始動。現地には報道陣が殺到し、ワイドショーがその一挙手一投足を報じた。CSファイナルステージもかすんだ新庄劇場。オモロさ抜群の育成法を、球界のご意見番やチームメイトが徹底検証した。
真っ赤なジャージ姿でグラウンドに登場した新監督は、三塁ベースライン内側にワゴン車を招き寄せると、スルスルとルーフトップ(屋根)によじ登り、右手に握ったバットを約3メートルの高さに突き出した。
「送球は低く。思い切り上に強いボールを投げたって意味がない」
11月8日のキャンプ初視察からぶっとびパフォーマンスで度肝を抜いたのは、日本ハム・新庄剛志監督(49)その人だった。スポーツ紙デスクが語る。
「選手時代は遠投134メートルの強肩を誇った新庄監督ならではの送球練習でした。若手選手たちは『あの高さで強く遠くに投げるのは難しい』と目を白黒させていました」
その後もバント練習用マシンを球速130キロ台から150キロの高速に設定変更。
「もっと速くしたい。遅い球だと意味がない。試合では球がホップするんだもん」
さらに、走塁練習ではメニューになかった、2チームに分けてのベースランニングを突如、提案。
「勝ったほうにアイフォン13やろうかな」
など、これぞビッグボス流とばかりに次々と独自のトレーニング法を繰り出したのだ。
野球解説者の槙原寛己氏は、今回の秋季キャンプを視察して、好意的な意見を寄せる。
「こうしたパフォーマンスは、マスコミにとっては大歓迎でしょう。また、選手にとっては意識付けにはなる。やってほしいことがわかりやすい」
かつて、敬遠球をサヨナラ打された因縁などどこ吹く風、意外にもこの破天荒ともとれる新庄流トレを評価するのだ。
同じく、野球評論家の江本孟紀氏も同じ見方だ。
「話題作りは大成功。今の時代は、こういうタイプの監督が出てきてもおかしくない。コロナ禍で野球界が沈滞気味だったので、やりすぎぐらいがちょうどいい。どんどん派手にやってくれたらいい」
と、さらなるパフォーマンスを焚きつけるほど。
「格好はやりすぎでも、野球そのものはチャラけてない。割と常識的ですよ。例えば、清宮幸太郎(22)に対し、『太りすぎ』と〝痩せろ指令〟を出したけど、あれなんか最高ですよ。清宮は痩せたら飛距離が出なくなると心配しているようだが、飛距離は体重ではなく、手首の強さですよ。今の選手は太りすぎ。新庄は自分の絞ったカラダで、野球選手はこういうカラダでないといかんぞとアピールしている」(江本氏)
文字通りの「痩せ我慢」でレギュラー獲得、ホームラン量産なるか!
*「週刊アサヒ芸能」11月25日号より【中編】へつづく