11月5日、日本ハム・新庄剛志新監督をサポートする新外国人選手の獲得が発表された。前日には監督就任の会見が行われ、真紅のスーツ、襟の大きなワイシャツ、ミサンガふうのネックレスと“ド派手な姿”に加えて、「優勝なんか目指しません」「ビッグボスと呼んで」と話すなど、従来の野球界の常識をブッ壊す発言に驚かされた。
「日本ハムが最下位に沈んだ敗因はいくつかありますが、まずは、打線の強化です。チーム打率は12球団ワーストの2割3分1厘でした」(スポーツ紙記者)
新庄劇場のキーマンともなりそうな新外国人選手とは、前ブルワーズのレナート・ヌニェス内野手。現地ライターがこう評する。
「来季28歳とまだ若いですが、近年では40人のメジャーリーガーとしての契約を取れるかどうかという厳しい立場にありました。2018年に移籍したオリオールズでは正三塁手の故障離脱を補って余りある大活躍をおさめました。でも、その後は…」
新庄監督も「日本の野球にフィットする可能性が高い」と評していたが、それは「スイングスピードはちょっと遅い」という短所を逆手にとってのもの。既存の常識を覆す新監督の眼力に期待したいが、気になるのは、ヌニェスの守備位置だ。レフトの守備に着いたこともあるが、主に「一塁か、指名打者」として試合に出ていた。
一塁、指名打者。ということは、弾き出されるのは、清宮幸太郎か? 今季は1軍出場こそ果たせなかったが、2軍で本塁打王のタイトルを獲得している。
「日本ハムフロントが『清宮、吉田輝星を一人前にしてくれ』と新庄監督にお願いしたなんて情報もありましたが」(地元紙記者)
ヌニェスは右打ち。清宮は左打ちだが、ポジションがかぶる。三塁にまわせば、成長著しい野村佑希の出場機会を奪ってしまう。また、中田翔の移籍後、一塁の定位置を掴んだ高濱祐仁(右投右打)も黙ってはいないだろう。近藤健介、西川遥輝、淺間大基、松本剛、大田泰示、王柏融、万波中正らの外野・指名打者候補たちも試合に出たいと血眼になっているはずだ。現有戦力に緊張感を与えることもヌニェス獲得の目的なのかもしれない。
「新庄監督は守備にウルサイ指揮官になりそう。今年2月、関西のTV局の企画で阪神キャンプを視察したとき、『だから、エラーするんだ』とキツイ言い方もしていました。味方投手がモーションに入った時点で足を動かせとか、そのタイミングがどうのとか、色々と苦言を呈していました」(在阪メディア)
レギュラーで起用してもらうには、守備面での信用を勝ち取らなければならない。先のキャンプ視察では、「相手を引き立てるのが苦手。自分のほうが輝いてしまう」と笑っていたそうだが、監督版・新庄劇場の主役は選手たち。ヌニェス獲得で清宮、野村が発奮しなければ、最下位脱出は果たせない。
(スポーツライター・飯山満)