「絵本界の又吉」も出現!副業がさえわたる無名芸人たち

 売れっ子のお笑いタレントの陰に、仲間芸人による貢献があることは珍しくない。有名なところではオードリーの若林正恭。同じ事務所(ケイダッシュステージ)に所属するコンビ芸人・どきどきキャンプの佐藤満春は、若林のラジオ「オードリーのオールナイトニッポン」(ニッポン放送)に構成作家として参加し、番組を支えている。南海キャンディーズの山里亮太ほか、佐藤に信頼を寄せる芸人、業界関係者は多い。

 有吉弘行を支えているのは同じ事務所(太田プロダクション)の先輩であるデンジャラス・安田和博。一部ネットで「放送作家へ転身」と報じられたが、現在も変わらず芸人と作家の2足のワラジをはいている。

 この関係になったのは20年ほど昔。安田は事務所の大先輩であるダチョウ倶楽部のラジオにペンネームを使ってネタを送っており、正体を明かすと、DVD制作の際に構成作家として誘われた。以降、裏方としても活動するようになり、現在は有吉にベッタリ。ラジオ「有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER」(JFN)や「有吉ベース」(フジテレビONEほか)に作家として携わる。

 名前はあまり知られていないが、演者以外の分野で活躍中のお笑い芸人は他にもいる。

 田中光はギャグ漫画家という顔を併せ持つ。14年に、サラリーマン”山崎シゲル”が部長を相手に繰り広げる異常な日常をひとコマ漫画「サラリーマン山崎シゲル」シリーズとして発表すると、SNSを中心にじりじり拡散。森永製菓やサントリー、シャープや住友生命ほか多くの大企業とタイアップしていった。

 昨年7月、「たなかひかる」名義で描いた絵本「ぱんつさん」は「第25回日本絵本賞」を受賞。現在は、妻のヨメタナカと愛猫の正太郎の日常を描くエッセイマンガ「つまねこ~妻とねこの話~」をヤンマガWEBで連載している。また、ピン芸人・お見送り芸人しんいちと組んだ歌ネタ系コンビ「田中上野」としても活動するが、収入の大半は漫画家。グレープカンパニー唯一の受賞作家芸人である。

 吉本興業にも絵本で受賞したピン芸人がいる。ひろたあきらだ。19年に「月刊MOE」が実施した「第12回MOE絵本屋さん大賞2019」で新人賞1位に入選した。

「受賞作品の『むれ』は、全国の書店の児童書売り場担当者ら現場のプロから1年間でもっとも支持された絵本。芸人の受賞は初でした。ピン芸人としては世に出ていないひろたさんですが、“絵本界の又吉”として注目されています」(芸能ライター)

 番組ブレーンから受賞作家まで。お笑い芸人の成功例は、民放のバラエティ番組に出演することだけではない。

(北村ともこ)

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