中居正広は「準備の男」だ。昨春、ジャニーズ事務所を退所して、独立記者会見を開いた際、元SMAPのメンバー・香取慎吾が「中居くんらしく準備をしたんだろうなぁ」という旨のコメントをしたが、グループ時代から下準備を万端にするタイプだった。
驚くのは、その努力を10代で身に付けていること。TOKIO結成前のジャニーズJr.時代の城島茂が目撃しているという。
「原宿に合宿所があった80年代、城島は18歳、中居は16歳で入所。城島は中居が机に向かってネタ帳を書いていることを知り、その理由を聞くと、『歌うまくないから、トークくらいうまくなりたい』と話したそうです。そのノートは山ほど積まれていたそうです」(芸能関係者)
中居が体調を壊して、救急車で搬送されたことがあった。城島が例のノートを盗み読みすると、MCや演出のことなどがビッシリと書かれていたという。
「トークがうまくなりたい」という願いはその5年後、21歳で叶った。「笑っていいとも!」(フジテレビ系)の曜日レギュラーに、香取と抜てきされたのだ。ところが、生番組で並み居るお笑い芸人と同じステージに立つと歯が立たなかった。
そこで、ノートに架空の台本を作り、総合司会のタモリとの会話を何パターンも想像。香取と練習したが、それでも生放送終了後は決まって反省したという。
SMAPとして栄華を極めた15年9月に放送された「テレ朝SMAPバラエティ部スマシプ!全然ゆるくないバスの旅 秋の3時間SP」(テレビ朝日系)では、中居のバッグから多くの私物が公開された。数冊のノートが出てきたことから、40歳を過ぎてもなお“ノート癖”を続けていたことが証明された。
「ノートに書きこむクセは、仕事上だけではありません。実は大の韓国映画ファンで、自宅マンションには多くの作品がズラリと並び、視聴済みは1段目と2段目、一番下の4段目はこれから観る作品と入れ分けるマメさ。さらに、ノートにはこれから購入しようと思っている作品名、すでに鑑賞した作品には感想のみならず、採点までつけています」(前出・芸能関係者)
史上最年少の25歳で「紅白歌合戦」(NHK)の白組司会者に抜擢された中居。以降、通算6回も白組(5回)と紅組(1回)の“紅白”の司会を務めた唯一のアイドル。このときも、ブ厚い台本をほぼ頭に叩き込んだという。
時代がどんなにデジタル化されようと、中居は手書きのノート派。アナログを貫く昭和の男だ。
(北村ともこ)