MRI検査で火傷のリスクも!? タトゥーが医学的にオススメできない理由

 昨年大晦日に行われたボクシングWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチで無敗の挑戦者・田中恒成を8回TKOで下した井岡一翔(31)。4階級王者として実力を存分に見せてくれたが、はからずも試合以上に大きな話題となってしまったのが彼の左腕のタトゥー。日本国内のプロボクシングの試合では日本人選手に対し、タトゥーが見える状態での試合を禁止しており、隠すことを義務づけている。

 激しい試合を続ける中でファンデーションが落ちてしまったのが露呈の原因だと思われるが、試合後に井岡は海外メディアに「このルールを崩したいと思っている」と語っている。すると、SNS上ではタトゥー擁護派と否定派が激しい論争を繰り広げ、多くの有名人がコメント。日本ボクシング協会(JBC)は、井岡本人と所属ジムの会長に厳重注意処分を下したことを発表している。

 タトゥーが社会に受け入れられるかどうかはひとまず置いておき、気になるのは身体への影響。いろんな感染症へのリスクがあるという話も聞くが、実際のところはどうなのか?

「日本でも特に多いとされているのがC型肝炎。国内に推定150〜200万人の感染者がいると考えられており、なかでも若い方はその多くがピアスやタトゥーが原因だと言われています」

 そう指摘するのは、これまで多くのタトゥー除去手術を行ってきた美容皮膚科医。日本のタトゥースタジオは海外に比べると衛生管理がしっかり行われているそうだが、医療機関ほど徹底されているわけではない。そのため、衛生面での不安が大きいという。

 また、金属が含まれているインクを使用すると肝臓への負担が大きく、慢性肝炎などさまざまな肝機能障害を起こす可能性もあるとか。ほかにもインクによるアレルギー反応を起こすケースも報告されているそうだ。

「あと、病院の精密検査などで使用されるMRIは、タトゥーが入っていると火傷を起こす可能性があります。そうした事情から使用を控える医療機関も少なくありません。ゆえに重大な疾患の発見が遅れることもあります。医師としての立場から申し上げれば、タトゥーは百害あって一利なし。これは間違いなく断言できます」(前出・美容皮膚科医)

 タトゥーは文化であり、表現の自由は守られるべきとの言い分もわかるが、医学的にオススメできない理由も軽視できないはずだ。

(トシタカマサ)

※写真はイメージです

ライフ