昨年、海外進出のために2021年4月に現所属事務所との契約を終了することが明らかになった若手人気俳優の新田真剣佑(24)。この所属事務所からの退社という決断に多くのファンが驚いたが、父親の千葉真一(81)は、海外進出に成功した先駆けで、海の向こうでは「サニー千葉」の名で知られる。親子2代にわたるハリウッドでの活躍が期待されている。
そんな千葉がかつて主宰していたジャパン・アクション・クラブ出身の真田広之(60)も現在はロサンゼルスを拠点に活動。しかも、人気海外ドラマに多数出演し、「米国ではキャスティング候補上位のアジア系俳優として常に名前が挙がる」と話すのは映画ライター。
ただし、最も成功を収めた日本人俳優といえば渡辺謙(61)だろう。真田とともに出演した「ラストサムライ」(03年)はアカデミー賞とゴールデングローブ賞の助演男優賞、ブロードウェイミュージカル「王様と私」(15年)ではトニー賞主演男優賞にそれぞれノミネートしている。
だが、彼らのように海外で成功した芸能人はあくまで一部。95年にアメリカに拠点を移した吉田栄作(51)はこれといった活躍ができないまま3年後に帰国している。でも、俳優以上に海外進出が厳しいのは音楽界だ。
全米ビルボードで坂本九に迫る実績を残す日本人アーティストはいまだに現れていない。米国進出後のピンクレディーはシングル部門で最高37位と健闘したものの興行的には完全な失敗に終わっている。宇多田ヒカルでさえアルバム部門69位がやっとで、2020年の「NHK紅白歌合戦」に初出場を果たしたメタルアイドルユニットのBABYMETAL(同39位)よりもずっと下だ。
さらに松田聖子(58)は1990年に当時人気絶頂の世界的男性ポップスグループ、New Kids On The Blockのメンバーと組んでデュエットソングをリリースしたものの、シングル部門54位と惨敗。ソロ名義にいたっては、一部タイトルが部門別ランキングに入っただけで総合チャートはすべて圏外。元KAT−TUNの赤西仁(36)は米iTunesで1位になったのは評価に値するが、これはダンス・チャート部門で、ビルボードではランク外に終わっている。
「それでも世界を目指す姿勢は立派です。実際、海外在住の日本人アーティストの大半は住んでいるだけ。音楽的に海外進出をしているわけではないからです」(音楽誌編集者)
そう考えると俳優のほうが成功できる可能性は高そうだ。ジャニーズ事務所を退所した山下智久(35)も海外に拠点を移し、小栗旬(38)もハリウッド進出を果たした映画「ゴジラVSコング」(仮題)の公開が控えている。こんなご時世だからこそ海の向こうでも活躍してもらって、明るい話題を提供してほしいものだ。