中日ドラゴンズが球団創設85周年となる来季に向けて動き始めた。エース・大野雄大の残留が決まり、与田剛監督もひと安心といったところ。しかし、ホッとしていたのも束の間。新たな難題が飛び込んできたのだ。
「来春キャンプで、有力OBの立浪和義氏が『臨時コーチ』を務めることが決まりました。若手選手の間ではカリスマ的存在です。打撃を教わりたいと思う選手も多いのでは」(スポーツ紙記者)
3年目の飛躍を目指す根尾昂、今季打撃不振だった京田陽太、同じ右投左打の高橋周平は参考になるだろう。また、期待の石川昂弥の打撃指導にも着手するはずだ。
「昨年の春季キャンプ、オープン戦の期間中のことでした。打撃面で結果の出ない根尾に対し、たまたまTV局の取材で訪れていた立浪氏が直接指導する場面がありました。根尾は『わかりやすかった』と語っています」(前出・スポーツ紙記者)
しかし、指導の対象は若手野手だけではなさそうだ。去る11月1日、地元名古屋のテレビ局の企画で、立浪氏は今秋のドラフト1位・高橋宏斗投手と共演した。オンエアでは「立浪さんは憧れの選手だった」と、高橋は終始、緊張していた。そんな18歳に対し、立浪氏は番組終了後に呼び止め、「ストレートか、変化球か、自信のあるボールを磨くこと。完投できるような…」「下半身を根気強く鍛えて」と、アドバイスを送っていたそうだ。
「高橋は一軍キャンプでスタートさせるだろうというのが、大方の意見です。立浪氏が臨時コーチで現地入りすれば、高橋は挨拶に行くでしょうし、もっとたくさん話も聞きたいはずです」(名古屋在住記者)
そうなれば、他の投手も立浪氏のまわりに集まってくるはず。投打の中日ナインに強い影響力を持つだろう。
「立浪氏は、現名誉オーナーの白井文吾氏との折り合いの不味さも伝えられてきました。その白井氏が一歩下がり、大島宇一郎現オーナーとなったことも、今回の臨時コーチの要請という“現場復帰”につながったのだと思います」(前出・名古屋在住記者)
来季はメモリアルイヤーだが、大掛かりな補強は予定していないという。投打ともに若手を抜てきしながら「打倒巨人」を目指す。立浪氏が指導した若手が活躍したら、与田監督の立場は…。来季の与田監督は3年契約の最終年を迎える。そういうビミョーな時期に、フロント主導で大物OBの臨時コーチの要請が決まるのは、意味シンな感もしないではない。采配に集中できないなんてことにならなければいいのだが。
(スポーツライター・飯山満)