今日から始める縄文式健康法!小さじ1杯の「古代米」で病気知らずの腸を作る

 縄文時代といえば、原始的な生活に簡素な食文化。もちろん健康食品や薬などなく、人々の健康維持は、自然を利用した知恵によって保たれた。その究極の食文化をこの現代に再現してみると……。

「玄米は体にいい」は、いわば我々の共通認識として「常識化」しているのではなかろうか。精米によってうまみが増す代わりに、骨や血液などを作る大切な栄養素であるカルシウム、マグネシウム、鉄分などのミネラル分が削り取られる。それをたっぷり残した状態が玄米であり、味覚的にはやや粗削りなものの、健康にいいとして浸透している。

 では「古代米」といえば、どうだろう。古い品種、古代人が食していた、なんとなく栄養価が高い……抱くイメージはあるようで曖昧。だが実はブームが続く「腸活」に直結し、より人体にいい影響を与えるとして年々、食されつつあるのだ。

 かの縄文時代から日本で作り続けられてきたという、化石のようなお米。それは主に3種類あり、赤飯の起源とされる「赤米」はポリフェノール、タンニン、カテキンなどが豊富で、抗酸化作用が強く、動脈硬化などの生活習慣病の予防に役立つ。

「紫(黒)米」には、ビタミンCやマンガンなどのミネラル、さらにアントシアニン成分には視力改善作用がある。そして希少性の高い「緑米」には特にカリウム、マグネシウムなどの含有量が多いといわれる。

 ではなぜ、そんなに健康にいいはずの古代米がその後、ほとんど作られなくなってしまったのか。農業関係者によれば、

「草丈が高くて倒れやすく、収穫量が少ないため、より多くの収穫を見込める品種に取って代わられていったのです。古代米は神社への奉納用など、ほんのわずかだけ作られ続けました」

 それが健康志向が高まった今になって効能が見直され、全国各地で作られるようになったのだ。

 古代米のパイオニアとして、日本はおろか、世界からも熱い視線を向けられている人物がいる。02年、美味で体にいい世界の伝統食を支援するイタリアの非営利団体「スローフード協会」から「スローフード大賞」を授与された、武富勝彦氏(74)=佐賀県江北町=が語る。

「私の住む有明海沿いに生える葦ヨシを中心に、カキ殻や米ぬか、もみ殻などを加えたものを堆肥化して、土壌に与える。古文書の教えに忠実に13年かけて土づくりをして、ようやく自分でも満足できる古代米を完成させました」

 これぞ正真正銘の無農薬、有機農法だが、かつて偶然、目にした「武富古文書」なるものがもとになっていた。地元関係者が明かすには、

「この地域一帯の姓が『武富』で、江戸時代に地域の誰かが書いたものを『武富古文書』と呼んでいたそうです。それを地元の人が書き直して県立図書館に収めたとか。武富さんが見たのは、その書き直したものです。内容は、古代米を作るための田んぼの作り方、土の作り方などです」

 すなわち、「最上の古代米」を作る極意だったのだ。

 特に評判がいいのが「緑米」である。「赤米」「紫米」と比較して生産農家が非常に少なく、いい種を見つけることは困難なのだが、

「全国を探し回って、やっと千葉で食用ではなく、切り花として売られていた緑米を見つけたのです。その種を譲ってもらい、栽培しました」(武富氏)

 この「緑米」には通常の古代米以上にポリフェノールやタンニン、アントシアニンなどが含まれ、内臓の働きの活性化、老化防止、血管の強化などが期待できるという。

「私はぜひ、腸への効能に着目したいですね」

 と話すのは、腸と健康の関係に明るい内科医だ。

「ことに緑米はマグネシウムや亜鉛とともに食物繊維やビタミンが豊富で、腸の動きを活発にします。腸にはヨーグルトがいい、などといいますが、日本人ならばずっと主食であり続けたお米で、より腸にいい品種があれば、こんなにありがたいことはないでしょう」

 最近の「腸活ブーム」で腸に対する注目度は格段に上がっており、健康の源とも言われている。そこでしばしば登場するのが、腸内細菌ならびにその集合体の「腸内フローラ」。「善玉菌」「悪玉菌」などは、誰でも知る用語になっている。主に乳酸菌などの善玉菌が、外からやってくるウイルスなどの病原菌を排除したり、人間の体に必要な栄養分を作ったり。健康でサラサラな血液を作るために働いていることも、今や常識だ。

 体そのもののみならず、心の部分でも腸の働きが次々と明らかに。

「例えば人に『生きがい』や『安らぎ』を与える神経伝達物質セロトニンや、『やる気』を生むドーパミンのほとんどは腸によって、腸内細菌の働きで生産され、脳に運ばれていきます。セロトニンやドーパミンが不足すれば、ストレス障害やうつなどの原因にもなる。つまり腸内環境を整えて、善玉菌優位の状態にすることが、心身のバランスを整えるためには最も大切なのです」(内科医)

 最大の敵は便秘であり、腸の全ての働きを鈍くしてしまう。それを防ぐために摂取したいのが、食物繊維。保水性のいい食物繊維は消化器を通過していく中で膨らみや粘性を増し、便の量も増やした状態で外に排出される。だから便秘も防げるのだ。

 それがわかってきたからこそ、「食物繊維たっぷりで腸にやさしい」を売りものにした食品が数多く流通しているのだ。健康ジャーナリストが言う。

「肉食中心の欧米人が肉を消化するための消化酵素がたくさん出る体質になるように、地域ごとにその風土に合った土着の食材こそが体にもなじみ、腸内細菌にもフィットするのです。日本で古来からある古代米ほど、日本人の条件にピッタリのものはありません」

「緑米」にはそうした日本人向けの食物繊維がたっぷり含まれている。ちなみに「赤」「紫」「緑」には造血作用、滋養強壮、血液浄化のほか、高血圧や糖尿病にも効果を発揮するという。まさに病気知らずの究極簡易食なのではないか。

 食べ方はいたって簡単だ。通常の白米1合に対し、古代米のブレンドを小さじ1杯入れて、炊飯器で炊くのみ。いくつか流通する古代米のブレンドは白米よりは値が張るものの、家計の負担になるほどのものではない。1000円程度で売られているものもあって、庶民にはありがたい。

 腸活の方法は数あれど、主食として白米に混ぜて食べるだけなら、長続きしそうである。

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