日本最速を達成だ。10月16日に封切られた「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」の興行収入が、わずか10日目の10月25日に100億円の大台を突破したという。従来の最速記録は「千と千尋の神隠し」の公開25日目で、それを2週間以上も短縮する大記録を樹立。次は「千と千尋〜」が打ち立てた308億円という最終成績を上回るかどうかに期待が高まっている。
「相当な興行収入が期待されていたものの、さすがに日本最速を2倍以上も上回るペースには配給の東宝や版元の集英社も度肝を抜かれているに違いありません。ほとんどの映画館が満員御礼で、地方のシネコンでは深夜上映を目当てに夜でも駐車場が満杯。日本最北の地にあるT・ジョイ稚内では1日に11回の上映を行っており、JR稚内駅を出発する列車の本数(7本)を上回っていると話題になっています」(映画ライター)
もはや社会現象とさえ言える大人気ぶりに各地の映画館もほくほく顔だが、その一方で困った現象も発生。集英社が入場者特典として用意したコミックサイズの小冊子「煉獄零巻」が飛ぶようにはけてしまい、ほとんどの映画館で配布終了となってしまったのである。集英社では450万部という大部数を用意したにもかかわらず、公開2週間でこの有様。せっかくの入場者特典をゲットできず悲しみに暮れる観客も少なくないようだ。
ところが同作品の大人気ぶりがネットで広まると、各地の映画館で心温まる光景が続出したという。入場者特典の「煉獄零巻」を受け取らない入場者が次々と現れたというのである、
「池袋HUMAXシネマズの公式ツイッターでは、10月24日19:40の上映回をもって『煉獄零巻』の配布を終了したと発表。その一方で同日の夜には《ファンやご年配の方に『鑑賞2回目なので持ってます』や『他の子供達に渡してあげて』と受取を断られてました》とのエピソードを明かし、実際の入場者数以上に配布することができたことを明かしていました。同様の現象は全国各地の映画館でも見られ、家族連れが1冊しか受け取らなかったり、鬼滅ファンの間では2回目以降の鑑賞では受け取りを断るようにとの呼びかけも広まっていたのです」
2009年公開の「ONE PIECE FILM STRONG WORLD」では150万部用意した入場者特典の小冊子が配布終了となり、その反省から2012年公開の「ONE PIECE FILM Z」では250万部に上乗せ。そして「鬼滅の刃」ではさらに倍近い450万部を刷っており、集英社にとってもわずか10日間での配布終了はさすがに想定外だったことだろう。今回も2009年の時と同様に、「煉獄零巻」の増刷に期待が高まっているようだ。
(北野大知)