思わぬ価値がつくヴィンテージ古着の中でも近年、再び人気が高まっているのがスカジャンだ。戦後、横須賀の街でアメリカアーミー文化と日本の伝統的な和装刺繍がコラボレーションして生まれたジャケットで、小泉進次郎環境相が選挙で「地元愛」をアピールするのに一役買ったことでも知られている。
このスカジャンの中には、現在ヴィンテージ価値がついて数十万の値段がつくものもあるのだ。古着ネットカタログの編集者に話を聞いた。
「1940年代のものはさすがにほとんど出回りませんので、ヴィンテージ物として高額取引がされているのは主に50年代のものですね。50年代はスカジャン全盛期でもあり、それなりの点数が出回っています。しかし、正確な制作年代の特定は相当なマニアでも難しいのが実情です。鑑定ポイントのひとつがチャック部分のジップ。現在でも主流メーカーであるYKKのものが多いですが、たまにTTSジップも見かけます。大手メーカーがTTSを吸収合併したのが1953年頃のことなので、TTSジップの商品はそれよりも古い年代のものと推定されます」
40年代のブツになると、値段は一気に跳ね上がるのだとか。
「とあるスカジャンには地図の刺繍が施されていたのですが、そこに描かれた朝鮮半島には38度線が引かれていませんでした。南北分断以前もしくは直後のものと推定され、16万円近くで取引されていました」(前出・編集者)
スカジャンの状態にもよるが、40年代および50年代のものには10万円以上の値がつく場合も珍しくないという。さらに生地素材もお宝スカジャンを見分ける大きなポイントのようで……。
「別珍と呼ばれる生地のものはレア感があり、高額になりやすいですね。刺繍柄は、定番の龍や虎よりも、孔雀やヒョウなどといった変わったものの方がプレミア感は高まります。最近だと白熊刺繍の別珍スカジャンが約20万円で落札されていました。一つ一つが一品ものともいえるヴィンテージスカジャンには、驚くほどの高値がつくことも珍しくありませんよ」(前出・編集者)
実家のタンスに、父や祖父が若かりし頃に愛用していたスカジャンが眠っていないか、一度チェックしてみては?
(オフィスキング)