単なるゴミだと認識していたものが数十年後に大きな値打ちがつく。そんなゴミの“お宝化”の名にふさわしいもののひとつが、牛乳瓶についていた紙の蓋。“昭和レトロ遺産”の象徴と言われる牛乳キャップだ。若い世代だと牛乳瓶自体にあまり馴染みがないかもしれない。昭和50年代中頃までは毎朝、牛乳瓶受けに新鮮な牛乳が配達される光景が一般的だったし、学校給食でも瓶牛乳が提供されていた。
その頃、子供達の間で流行ったのが牛乳キャップの収集である。メーカーや商品によってデザインが異なる点が子供心をくすぐったようである。その牛乳キャップの中には、今となってかなりの値段がついているものもあるという。ネット転売に詳しいマニアコレクター誌編集者に話を聞いた。
「骨董屋などの業者で取り扱っているケースは少なく、主にはヤフオクなどで個人同士の売買がされています。取引されているものは、主に未使用のものです。牛乳キャップの収集が流行した当時、工場見学の際などに配られたり、子供がメーカーに返信用切手を同封した手紙を出して送ってもらったりしたもののようです。当時はよくメンコとしても使われていましたが、使用済のものはふやけていたり反っていたりで強度が劣るため、未使用キャップを手に入れようとする風潮があったそうです」
メンコ勝負となれば、負けたほうが勝者に牛乳キャップを奪われることとなる。数十年前のメンコ対決で、現在の高額なコレクションの所有者が決まったと思うと、なんとも皮肉な話だが……。
「高額となるかどうかは、時代や地域のレア度が関連しているようですね。すでに廃業しているメーカーのものは当然レア度が高くなり、かなり古いものになると使用品でも取引されています。使用済キャップの値段に影響するのが、蓋を外す際に“牛乳栓抜き”の針が刺さった際の穴傷の大きさのようです。ほとんどは数百円から数千円で取引されますが、昭和40年代前半より古いものになると1万円を超える取引価格がつくことも珍しくなく、過去には1枚数十万円で取引された激レア品もあると聞きます。そこまでいくと何に違いがあるのかはコレクターさん以外にはわかりません(笑)」(前出・編集者)
確かに見ているだけで懐かしい気分になる牛乳キャップ。押入れの片隅でレア物を見つけたら一攫千金となるかもしれない!?
(オフィスキング)