6月4日、兵庫県宝塚市で大学生の男が親族4人を襲い、男女3人が死亡する事件が発生した。容疑者の男は「自分が持っていたボウガンで撃ったことに間違いありません」と、容疑を認めているという。
「4人のなかには、首や頭に矢が刺さった状態の被害者もいたとして、明らかに殺意が感じられる犯行でした。なお、日本ボウガン射撃協会のホームページによれば、ボウガンとは弓の『ボウ』と銃の『ガン』を組み合わせた和製英語で、英語圏ではクロスボウの呼称が一般的です。なお、同協会はボウガンを《弾道の安定化のため、弓の固定、弦、並びに矢の安定保持を機械化し、照準器と矢の発射機構を有した射撃用具》と定義しています」(社会部記者)
この事件を受け、今ネット上ではクロスボウが波紋を呼んでいる。クロスボウは日本では主にスポーツ用品として扱われるが、殺傷能力はきわめて高く、海外では狩猟に用いられることもある。そのような危険な武器にもかかわらず、実はクロスボウはネット通販などで簡単に入手できてしまうのだ。購入や所持に免許は必要なく、所持や携帯をしていても罪に問われることはない。大手通販サイトでも販売されており、誰でも購入が可能だ。
ネット上では、今回の事件を受けて《人を殺害できる威力がある飛び道具なんて銃と変わらない》《こんな武器がネットですぐ手に入るなんて怖すぎる》《免許制にするなどの対応を取るべきだ》とクロスボウへの規制を求める意見が数多くあがっている。
クロスボウを巡っては中国でも過去に問題となっている。中国の子供たちの間で矢の代わりに爪楊枝を用いた「爪楊枝クロスボウ」が大流行。人に怪我を負わせるほどの威力があり、目に刺されば失明の危険性もあるとして、中国でも規制を求める声が相次いだ。
日本においてもクロスボウが悪用される事件は度々発生している。2018年には飲食店経営者が、ネットで購入した「爪楊枝クロスボウ」を使い従業員の顔に怪我を負わせた事件が大きな話題となり、クロスボウへの規制の必要性がネット上を中心に議論された。今回の事件で3人もの犠牲者が出たことで、より一層クロスボウへの規制を求める声は強まりそうだ。
(浜野ふみ)