首都圏ではようやく緊急事態宣言が解除され、飲食店に足を運ぶ機会は増えていきそうだ。しかし、いまだ人との距離を保つソーシャルディスタンスを保つために、店側はあらゆる対策を講じている。店内に人が隣接して着席するのを避けるために席が間引かれていたり、テーブルの上に使用禁止を示す「×印」が貼られているのを見たことはないだろうか。必要な処置とはいえ、どうしても殺伐とした印象を受けてしまう。そうしたイメージを少しでも緩和する試みが見られているという。
「静岡県伊東市の伊豆シャボテン動物公園内にある『森のどうぶつレストランGIBBONTEI(ギボン亭)』では、客席にたくさんのカピバラやレッサーパンダのぬいぐるみを置くことで、お客同士のソーシャルディスタンスに務めています。客同士が、離れ離れになって寂しさを覚えるところですが、かわいいぬいぐるみが相席してくれることで、癒されながら食事ができるとあって好評のようです」(グルメライター)
今後、こうした取り組みは日本全国に波及していくかもしれない。しかし、海外に目を向ければ、すでにぬいぐるみを活用したソーシャルディスタンスはおなじみのようで…。
「タイ・バンコクのレストラン『メゾン・サイゴン』ではパンダのぬいぐるみを置いていて、お客さんの反応はいいようです。5月半ばから条件付きで営業再開許可が出たアメリカ・サウスカロライナ州のレストランでも人形が用いられているようで、バージニア州の高級レストランでは、その客層を意識してか、マネキンにフォーマルなスーツやドレスを着せて客席に座らせるなどしているようです。こちらはメイクも施されてかなりリアルです。ぬいぐるみと違って、日本人の感覚からすると、ちょっと不気味に感じられるかもしれません(笑)」(海外ニュースサイト編集者)
人形だけではない。ドイツでは奇妙な帽子を使った取り組みも見られている。
「ドイツ北部シュベリーンのカフェでは、屋外テラスに座る利用者に、3方向に伸びた長くカラフルなスポンジ棒がついた帽子が配られます。まるで頭に大きなタケコプターを着けているような見た目です。このタケコプターの“羽部分”が届く範囲に、他の客が侵入してこないようにするための措置ですが、この帽子を被っていては、一緒に来店した客同士は普通の会話もしにくいため、カフェを楽しめない気もしますね。実はこの帽子のアイデアは、元々は中国発祥のようです。中国では、子供たちに同様の“タケコプター帽子”を配って授業中もかぶらせている学校もあります」(前出・海外ニュースサイト編集者)
今や世界標準となったソーシャルディスタンスへの取り組みでも、各地の文化の違いが出るようだ。取り入れるべきところは取り入れて、新しい生活様式を送っていきたい。
(オフィスキング)