お笑い芸人で裁判ウォッチャーの阿曽山大噴火が、テレビや新聞では報じられないギョーテン裁判をリポート。コロナ禍のテレワーク推奨もあって、多少は混雑が緩和されたかに見えた通勤電車。ところが電車内で不埒な犯行を繰り返していた“常習男”は性衝動をおさえられなかったようで…。
去年からコロナウィルスの感染拡大でいろんな変化がありました。新しい生活様式なんて言い方もされて、形を変えたものも多々あると思われます。そんな裁判が先日、東京地裁で行われました。
罪名は、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反。被告人は40代の飲食店経営の男性。
起訴されたのは、2020年11月に小田急線の電車内で被告人が右手で被害女性(10代)の臀部をスカートの上から触ったという内容です。
検察官の冒頭陳述によると、被告人は大学を卒業後に飲食店で働き、犯行当時は飲食店を経営していたという。
被告人には前科が1犯あって、今回と同じ電車内での卑猥な接触行為。2019年に罰金刑を受けたにもかかわらず、本件の半年前ほどから満員電車で犯行を再開していたらしい。
そして、被告人質問です。
弁護人「再犯をしてしまった訳ですが、今後やらないためにどうしますか?」
被告人「保釈されてから病院に通って治療を開始しています」
逮捕は本件で2回目なんだけど、実際は2020年の6月くらいから繰り返していたって話なので相当な回数やってたんでしょう。被告人としてもやめたいという気持ちがあるようです。
続いて検察官からの質問。
検察官「この日は何のために電車に乗ってたんですか?」
被告人「前回の判決後も触りたいという欲求が湧いてくる時がありまして、その欲に打ち勝つために乗ってました」
検察官「それで結局は犯行に及んでるんですよね?」
被告人「はい、やってしまいました」
これは最初から犯行目的で乗車したと思われても仕方ないでしょ。欲に打ち勝つために満員電車乗るってどういう理由なのやら。
検察官「取り調べでは本件以外にもやっていたと?」
被告人「はい」
検察官「今までは女性の臀部に自分の下腹部を押しつけるというやり方だったみたいですけど、今回は手で触ってますね。何故ですか?」
被告人「ホントは下腹部を(被害者女性の下半身に)押しつけたかったんですけど、ソーシャルディスタンスで近づけなくって…。それで手で触りました」
まさかソーシャルディスタンスがこんなところに影響を及ぼしていたとは。他の乗客に近づけないなら犯行自体を諦めて欲しいもんですけどね。コロナ禍が不埒な犯行を絶つチャンスだったのに…。それでもやめられないから通院して治すってことなんだろうけど。
阿曽山大噴火(あそざん・だいふんか)
大川興業所属のお笑い芸人であり、裁判所に定期券で通う、裁判傍聴のプロ。裁判ウォッチャーとして、テレビ、ラジオのレギュラーや、雑誌、ウェブサイトでの連載多数。
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